エスケリータ68でNolenNiu-de-Ossi、春濱製作所、さつきのあきのライブを聴いた

カテゴリー │音楽

28日(土)18時30分~
浜松市西区大平台にあるカフェ、エスケリータ68では主に土日、音楽ライブが行われている。

出演は順に

さつきのあき
 ソロで弾き語り。
 一時音楽活動を休んでいたらしいが、再開し、歌っている。(なぜ休んだのかは知りません)
 大阪に6年間住んでいた時に音楽を始め、その時の思いを歌った歌がラストソング。

春濱製作所(The Spring Beach Works)
 ご夫婦で宅録で作品を作り続けている音楽ユニット。
 この日はひとり、ギターメンバーがサポート。
 1曲目がよかったが、曲名は知らない。(紹介したかなあ。忘れた)
 友だちのおばあちゃんにとっての孫が歌になる。
 角を曲がった先の喫茶店が歌になる。
 そして、ライブの当日譜面が上がってきたという自宅の防音室に閉じ込められた歌もやった。
 

NolenNiu-de-Ossi(ノレンニゥー・デ・オッシ)
  こちらも本来のメンバーは歌・ギター・三味線の喜多さんと、
  ピアノ・アコーディオン、歌のとる子さんの2人組。
  そこに、マンドリン・ギターの方と篠笛の方がサポートして4人編成。
  バンド名はふざけている(のれんに腕押しのシャレ)が、
  曲は情緒的で、そして楽しい。





 

古民家 風杏でガチ×ゲキproject「まるくなる。」を観た

カテゴリー │演劇

22日(日)13時~
古民家 風杏は浜松市中区春日町にある。
築100年になる古民家で、ギャラリーやレンタルスペースとして、長く活用されていたようだが、
僕は存在を知らなかった。
今回の静岡文芸大の学生たちをメンバーとする
ガチ×ゲキprojectの第3回演劇公演は初めての演劇上演だそうだ。
知ったばかりだが、残念なことに来月7月をもって、閉められるということ。

第1回公演が別役実作品。
第2回公演が寺山修司作品。
そして、今回はオリジナル作品。
作・演出は杉本健至氏。
すみません。
住宅街の中の古民家。
駐車場はないものと、車を停めたところから、しばらく歩いて会場へ。
着いた時はすでに開演していた。

古民家の居間に炬燵が置かれ、
夏場に炬燵は違和感があるが、
居間に炬燵はまったく違和感はない。

そこが演劇公演の舞台である。
四方ある炬燵の居場所の三方にそれぞれ女がいる。
それぞれ異方向を向いて、対話している。
対話しているが、視線は合わない。
それぞれの視線の先はまっすぐだ。
意思を持ち、視線の合わない対話をしている。

少し遅れた僕はそんな場面から観た。

対話が止まる。
そこにリンクするのは登場する二人の男。
そこそこフォーマルな格好をした二人の男は一見男だが、
おそらく男の役ではない。
止まり、物体と化した女三人に動作を与える。

そして、女たちは別の動作で別の対話に興じる。
語られるのはごく日常会話だが、
彼女たちはコントロールされているのだろうか。
自ら言葉を発しているのだろうか。

男に見えるがたぶん男ではない二人の登場と、
女たちの対話が果てしなく繰り返されていく。
間をとりもっているかのようにお茶を出す女たびたび出てくる。
彼女は、中盤、頃合いを測ったように、
客たちに本当にお茶を配る。
それは客とのつながりを意味しているだろう。

「ゴドーを待ちながら」という不条理劇と言われる戯曲がある。
ウラジミールとエストラゴンという二人の浮浪者が、
ゴドーと言う人を待っているのだが、来ない、という内容である。
この作品以前と以後では戯曲が変わったと言われる。
世界とはいかんともしがたいものであるという真実をつきつけた。
それまでは、人間の力で何とかしようとすれば何とかなった、
もしくは何とかしようとしたが、できなかった、という世界を描いていた。
それが、人間の力ではどうにもならない、という世界を描いた。

待っているゴドーはGOD、つまり神だと言われたりする。
真偽は作者であるサミュエル・ベケットに聞いてもわからないだろうが、
ここで示されるのは人間の無力さだ。
ただ、無力ながらも、じたばたと生きる。
生きるしかない。
思いは通じない。
相手の気持ちはコントロールできない。
わかりあえない。
世の中は変わらない。

じゃあ、何が変わるのか。
登場人物は変わろうと行動する。
それだけだ。

「まるくなる。」も不条理劇のカテゴリーと思われる。
当日渡されたプログラムを見ると、
男に見える二人は神1、神2と名付けられている。
炬燵で対話を試みる女三人はそれぞれイド、ニト、ジャノメと名付けられている。
間を行き来しているかのように見える女はお茶くみと名付けられている。

設定が与えられ、それぞれ行動する。
繰り返しの行動の間に、
甲本ヒロトのボーカル曲が響き、
客からよく見える場所で、
音響操作をする作・演出者が
古民家の日よけ(シェード?言葉がわかりません)を開け閉めする。





 

からころ定例会の続き

カテゴリー │からころ

「みんなで戯曲をつくろう」と呼びかけて、
意見を出しあい、決まっていったこと。
以下。

場所は都会の小さな旅行代理店

社名はあかつきトラベル

登場人物の1人目は町村真智子39歳。
あと10日で40歳になる。
出身は新潟県の山奥。
都会でOLをやりながらひとり暮らし。
性格はおとなしめ。

登場人物の2人目は香取君代。
真智子と同じく39歳。
愛称はカトリーヌ。

始まりは、あかつきトラベルの閉店時間近く。
閉店の準備をしている真智子。
そこに、カトリーヌがやってくる。

問題となっていることは、
真智子が10日後にやってくる40歳までに結婚しなければいけないということ。

真智子と君代は同級生。
20歳の時にタイムカプセルを一緒に埋めた。
それから20年経とうとした時に再会する。

・・・そんな感じです。
9名参加しましたが、
続きは7月12日(土)14時からのからころ定例会で進むかも。





 

14日のいわた表現の会からころ定例会のこと

カテゴリー │からころ

14日(土)14時~17時
磐田市西貝公民館で
いわた表現の会からころの定例会。

今のところは具体的な公演を予定していないので、
朗読したり、戯曲読んだり、○○したりの活動となる。
参加も他の予定があったりすると、そちらに行ったりなので、
毎月第2土曜に定例会はあるが、
誰が参加するかはその時にならないとわからない。

この日は、
「みんなで戯曲を作って、練習して、上演してみよう」
というのをやりたいと思っていた。

それを1日ですべてやる。
14時から17時の時間の中で、
14時にぴたりと始まるというのは近頃ないし、
家の事情で早めに帰る人もいるので、
正味3時間の半分の1時間半くらいかもしれない。
使うことが出来る時間は。

出来たとして、せいぜいほんの1シーンだろう。
時間的にどれくらいのものができるかはさっぱり予想できない。
何より案がまったく出ないかもしれない。


【やろうと思うこと】

①題材、時、場所、登場人物を決めて、

②ト書き、セリフを決めて、

③配役を決めて

④練習して

⑤上演する


ここまでやるつもりで、磐田市西貝公民館へ浜松から向かった。
とは言え、着いたのは14時を10分~15分過ぎていた。

よもやま話や情報の提供があったり、さらに遅れて来る人がいたりして、
15時近くなり、予定していたことを提案。

「みんなで戯曲を作ろう」

あ、今日1日で、セリフを書きあげ、練習して、上演しよう、と言うのを忘れた。
最初はビビるかと思って、先ずやることを言ったのだと思う。
でも、思ったより、乗り気を感じたので、すぐに作業に入ることにした。
一応、「思ったより乗り気じゃん」という言葉を付け加えたが。

で、その過程はまた。
ひとつ言うなら、その日に戯曲は完成していない。

西貝公民館の前に二宮金次郎像(たぶん)があります。



ただ、見ると、手には持っているはずの本がありません。
本来はあったと思いますが。
だから、「薪を背負い、手を見る人」になっています。
まあ、目線は手も見ていませんが。
というより、にやっとしています。





 

絡繰機械’Sの「DUAL+」(デュアルプラス)を観た

カテゴリー │演劇

15日(日)19時~
万年橋パークビル7F

3本の短編を組み合わせを変え、2本ずつ上演するシリーズ。
5月24日から続く6公演の内の最終公演に行った。

演目は
「通行のルール」と「迷宮の夢」
開演前、
本来の順番からの変更が告げられる。
当初は
「迷宮の夢」→「通行のルール」だった。
「通行のルール」→「迷宮の夢」になった。

今回の「DUAL+」の以前、
「DUAL」という公演があり、観に行った。
その際は「ナイフ投げ師の犯罪」と「通行のルール」をやった。
この2本に1本新作を加えて、「DUAL+」である。

3本とも、それぞれ、2本ずつ原案が存在することを明かしている。(チラシに明記)

完全オリジナルの場合も
何かしら、ネタの元はあるはずで、
話のセオリーであったり、
会話の記憶であったり、
誰かの話した言葉で会ったり、
何かの本で読んだことであったり、
何かの映像で観たことであったり、
そういう過去の産物が生み出したものであることは確か。

ゼロから生んだというのはたぶん思いあがりで、
いっそのこと、ネタ元はこれですと、明らかにして取り組んだ方が、
輪郭のはっきりした骨太の作品ができるのかもしれない。

シェイクスピアも過去の流行り話をネタにして自らの名で作品を発表していったという。
文章自体が、単語の組み合わせにより化学反応を起こすように
2つの作品が原案だとしたら、それらの融合が起こす化学反応は新たに生まれた作品に大きく影響する。
異質の作品が組み合わさった時と同質の時とは違うだろう。
日本と海外でも違うだろう。
出版物と非出版物でも違うだろう。

今回の上演作品でも
「通行のルール」は3年後に世界が終わるという設定の中、
工事が行われていない場所をガードマンの仕事にいそしむが、
語られる話はきわめて現実に根ざしている。

片や「迷宮の夢」は
設定も話の進み方も、非現実的である。
非現実的な架空の都市はカラクリの芝居ではよく出てくる。
それは抽象の効果を生み、横たわった構造が立ちあがってくると
物語が大きく動き出す。

ひとつ思ったこと。
「通行のルール」の通りがかる人、中西さんは、コートジボアールのドログバのようだった。
前回の上演時も同じ役をやったこともあるかもしれない。
登場したら、途端に場(ピッチ)が動き出した。
左サイドを切り崩し、連携を生み、得点をあげるのに貢献した。
(カラクリのみなさんがまず生で観ることができなかったであろうW杯と感想の化学反応を試みた)





 

浜松駅前で「ドリームフィールズ」のロック演奏

カテゴリー │いろいろ見た

クリエート浜松でのフラメンコ発表会が終わり、
夜は19時から絡繰機械'Sの演劇公演を観るため、
空いた時間に浜松駅前へ。

新聞記事で知っていたフリースクールのロックバンド「ドリームフィールズ」が駅前広場で演奏していた。
途中からだったので、聴けたのは2曲+αだったが、
一度聴きたいと思っていたので、よかった。
たぶん清志郎の歌詞によるイマジンとラストに新曲だという曲をやった。
路上演劇祭にも出たアルス・ノヴァのムラキングが、
路上の時と同様に「あなたの詩を書きます」のブースを出していた。





 

第6回倉﨑由佳フラメンコ教室発表会を見た

カテゴリー │いろいろ見た

15日(日)14時30分~
クリエート浜松2Fホール
午前中は46、6%の平均視聴率(データは関東地区)の内のひとりとして、
家で日本戦のサッカー観戦。
なんなんだろなあ。
日曜昼間に46、6%って。
生ってすげえなあ。
負けた試合録画で観る気しねえしなあ。
何より録画機能のあるデッキ所持してないし。
今朝のTVニュースでは
銀座の歩行者天国試合やってる時間ガラガラだったし。
きっと浜松街中もガラガラ。
イオンはどうだろう。
大型ビジョン設置して客集めしてたかも。

こんな午前中は46、6%がテレビを見ていた日曜の午後、
浜松街中まで自転車を走らせ、フラメンコ教室の発表会を観に行った。
文字にするとあらためて思う。

「~教室の発表会」
もちろん知り合いが出るから観に行ったのだが、
ギター、カホンの楽器演奏者、
2名のカンテはおそらくプロだ。
そして、照明もプロだ。
ステージ・ループの車が搬入口に停まってた。
そんなバックアップが初心者から経験者たちの晴れの発表会を支えている。

フラメンコだけでなく、タップや朗読など教室の発表会に観に行く機会がある。
知り合いといっても身内ではない僕は、客席に座りながら、
どこか、教室の枠を越えてくることを期待している。

サッカー日本代表は前半の1点リードむなしく、後半の続けざまの2失点で逆転負けした。
当然ながら、発表会の参加者やスタッフは、サッカーの結果と関係なく、
準備にいそしんでいたはずだ。
(経過、結果は手持ちのタブレット等で確認済みだったかもしれないが)

それにしても、フラメンコを習う人(多くは女性)が多いようだ。
浜松にも幾人かの先生がいるようだ。
なぜだろう?
対して、演劇教室はあまりない。(もちろんあることはあります)
だから演劇教室の発表会はあまりない。
演劇をやっている集団はある。
それを「劇団」と言う。
劇団も、やりたい者たちが同じ立場で集まったというところもあるだろうが、
結成から時を経ると、おのずと、経験の差、技術の差、知識の差が同じ劇団内で生じる。
教室のように、教える人(先生)、教えられる人(生徒)のような関係になるのも普通だ。
そのような関係であってもひとつの演劇作品を作るために集まっているのが劇団だ。

それは複雑さを生じる。
教室の発表会なら、習得のランクごとに課題に取り組むことができる。
演劇で1時間半の作品を取り組もうとしたら、それぞれの差もどこかで刷り合わさなければならない。
何とも演劇とは不器用なものだなあ。

まあ、特別このことに答えはないが、
フラメンコを3曲踊った知り合いは「ハレロヤ」で一緒に演劇を作った仲間です。





 

ゆるきゃらみつけた!(浜松メロンは日本一君)

カテゴリー │見つけた

発見場所:マルキ果実店入口シャッター(浜松市中区伝馬町)

勝手に命名:浜松メロンは日本一君

特徴:浜松が好きすぎて、網目が浜松の地図になった。
表示がなぜか水関係のみ(太平洋、浜名湖、天竜川)
    
性格:日本一だと信じて疑わない頑固なところがある。
きりりとした眉、意志の強い目、にこりともしないヘの字の口をみてもうかがえる。

出会うためのポイント:果実店が営業している時間は出会えません。
果実店が閉店時にお越しください。(というのも権利所持者の果実店さんにとっては変な話ですが)





 

朝起きるということ その3(最終回)

カテゴリー │ブログで演劇

おとうさん「イツコ~助けてくれ~。布団が暴れて眠らせてくれんのだ」

   おとうさんが、大慌てでやってくる。
   おとうさんの顔は殴られたようにぼこぼこ。
   目覚ましはその場で直立不動。
   太陽はカーテン右と左の間から隠れ、カーテンは閉じられる。

おとうさん「(布団を見つけ)おお。イツコの布団で眠らせてくれ」

   おとうさん、イツコの布団にもぐりこむ。

イツコ「おとうさん、わたしの布団」

   イツコも自分の布団にもぐりこむ。
   おとうさんははじきだされるが、再びチャレンジ。
   イツコとおとうさん、ひとつの布団を奪い合う。



おかあさん「いったい何なのよ。お布団が突然浮き上がって、カーテンと窓が勝手に開いて、外へ飛んでっちゃった。あれ?わたし、何言ってんだろ?ちがう、ホントのことなのよお。お布団が飛んでったのよ。空へ。とっても気持ちよさそうに」

   おかあさん、目覚ましを蹴飛ばす。



目覚まし「980円だからって!」
おかあさん「へ?目覚まし時計が980円って言った。何で?」
目覚まし「いつまでも寝てるから、布団が反乱起こしたんだ。働かせすぎだって」
おかあさん「あ、イツコの布団」

   おかあさん、イツコの布団にとびこむ。
   イツコとおとうさん、はじきだされる。

おとうさん「何するんだ。あ、おかあさん。どうして娘の布団を」
おかあさん「おとうさんこそ、娘の布団を」

   イツコ、布団を奪い返し眠る。

おとうさん「俺がイツコに買ってやった布団だ」
おかあさん「わたしがイツコのために、毎日お日様にあてて、ふっくらさせたお布団よ」
おとうさん「いつの話だ。ぺっちゃんこじゃないか」

   おとうさん、布団を押す。ぺちゃんこ。

おかあさん「新しいお布団買ってあげなさいよ。成長して足が出てるじゃない」

   布団から、イツコの足が飛び出している。



おとうさん「イツコ、大きくなったな」

   イツコ、かまわず眠り続ける。

おかあさん「そう思うんなら、働きなさいよ」
おとうさん「会社に行きたくないんだよ」

   おかあさん、おもむろに語りだす。



おかあさん「学校に行かない子どもと、仕事に行かない夫。こんな子どもの親であり、こんな夫の妻であるわたしはなんてかわいそうなんでしょう。家事を放棄したって仕方ないですわよね。みなさんもわかってくださいますわよね。ね。・・・ね」

   おかあさん、イツコの眠る様子を見ている。
   おとうさんも見ている。

おとうさん「いいなあ」
おかあさん「いいわねえ」

   おとうさんとおかあさん、どちらからともなく、布団に両側からもぐりこむ。

おとうさん、おかあさん「おやすみなさい」

   イツコを真ん中に両側におとうさんとおかあさん、眠っている。

目覚まし「いい加減にしてくれ」

   太陽がカーテンの間から顔を出す。

目覚まし「こんな家族、追い出しちまえ。窓から外へ放り投げちまえ」

   カーテン右、左がその用意をする様子。

布団「重くて、追い出そうにも動かない」

   布団、突き出そうとするが重くて出来ない様子。

目覚まし「見てろ。3人そろってちょうどいい。俺様がいっぺんに起こしてやる」
カーテン右「がんばって」
目覚まし「ああ」
カーテン左「がんばって」
目覚まし「よし」
布団「(重みに苦しそうに)ガ・ン・バ・ッ・テ・・・」
目覚まし「まかせろ」



   カーテン右と左、両側に開いていく。
   太陽が姿を現す。
   目覚まし、大きく息を吸いこむ。
   大きく吐き出す。
   それを何回か繰り返す。

布団「・・・ハ・ヤ・ク」
目覚まし「ああ」

   目覚まし、大きく息を吸いこむ。

目覚まし「ジリリリリ~。ジリリリリ~。ジリリリリ~」



   3人、まったく起きない。

目覚まし「ジリリリリ~。ジリリリリ~。ジリリリリ~。ジリリリリ~。ジリリリリ~」

   何度もジリリリリ~を繰り返す。
   ジリリリリ~がいい加減になってくる。

目覚まし「ジリリ・・・」

   目覚まし時計、黙りこむ。



友だちたちの声「(大声で)せーの。イ~ツコちゃん。(もっと大きな声で)せーの。イ~ツコちゃん」

   3人は眠り続ける。 
   太陽、目覚ましの肩に手を置く。

太陽「まかせろ」



   太陽、上着を脱ぐ。
   武道家のように呼吸をし、かめはめ波を出すかのように集中する。
   太陽の全エネルギーを布団に向けて、浴びせる。





   布団は暑がる。
   3人も暑がるそぶりを見せるが眠りから覚めない。
   逃げ出したい布団と眠りたい3人の攻防。
   布団はほとんど死にそう。
   命からがら3人から逃げ出す。
   太陽の光線を間近から一身に浴びながらも眠り続ける。



カーテン右「やめてよ」
カーテン左「死んじゃうじゃない」

   3人、苦悶の表情ながら、どこかうれしそう。



目覚まし「止めろ!」



   目覚まし、太陽を突き飛ばす。
   太陽、よろける。
   3人への直射を止める。

太陽「起きたくないのか」
布団「え?生きたくないのか?」

   太陽、布団をちらりと見るが、返さない。

太陽「生まれて46億年か。長く生きたな。寿命は残り75億年だそうだ。僕はそんなこと知らない。ある天文学者によるとそうなんだって。人間ってすごいな」



目覚まし「もう、起きることはないのかな」
太陽「さあ。でも、見ろよ。家族の顔を。幸せそうだろ?」
目覚まし「ああ。そうだな」

   月、カーテンの間から顔を出す。

月「交代の時間だ」
太陽「さすがに疲れたな」
月「ちゃんと起きろよ」
太陽「残り75億年か。・・・もう、いいかな」
月「(太陽の肩をつかみ)ちゃんと起きろよ」



   太陽、返事をせず、月の手を払い、みんなの方を向く。

太陽「おやすみなさい」

   太陽、カーテンの間から出て行く。



    カーテン、完全に閉められる。


              
 
                          おわり  



写真は浜松写真連絡協議会。
演じているのはグッドモーニング新川。



 

朝起きるということ その2

カテゴリー │ブログで演劇

   おとうさん、やってくる。 
   パジャマ姿。



   転がってる目覚ましに突っかかる。

目覚まし「イタ」
おとうさん「何だ、これ」

   おとうさん、目覚ましを見る。

おとうさん「じゃまだ」

   おとうさん、目覚ましを蹴飛ばす。
   目覚まし、ころころと隅に転がる。

目覚まし「(傾きながら)ジリリリ~」
おとうさん「うるせえ!」

   目覚ましはすでに物なので、反応は出来ない。
   イツコ、自ら布団から顔を出す。

イツコ「おとうさん、うるさい」
おとうさん「イツコ、学校は」
イツコ「おとうさんこそ、会社は」
おとうさん「おとうさんか?おとうさんは、いいんだ」

   おとうさん、おもむろに語りだす。



おとうさん「さっき蹴飛ばした目覚まし時計は、わたしがイツコに買い与えたものです。
イツコはキャンディカラーのミッキーの目覚まし時計を欲しがった。でも、それは3000円だった。店員にまけてくれと頼んだが、ダメだった。わたしはミッキーのとなりにあった目覚まし時計をつかみ、これでいいだろ、とイツコの願いを聞かず購入した。その目覚まし時計は、980円だったのだ。980円だったのだ・・・」

   おとうさん、蹴飛ばした目覚ましを拾い上げ、本来の場所へ。



おとうさん「おとうさんも、もう少し眠るよ。お休み」

   おとうさん、去っていく。

イツコ「おとうさん!」

   イツコ、布団をはねのける。
   布団ははねのけられる。
   イツコはおとうさんが去っていた方に行く。
   太陽が顔をのぞかせ、その様子を見ている。
   他の物たちも見ている。

おかあさんの声「イツコ~。学校のお友達がむかえにきたわよ~。おかあさんこの格好じゃ外出られないのよ。あなた、返事だけでもしてくれない?」
イツコ「ほっとけばいいのよ。ほっとけば、あきらめて行ってしまう」
お友達たちの声「(大声で)せーの。イ~ツコちゃん。(もっと大きな声で)せーの。イ~ツコちゃん」

   イツコ、逃げるように布団にもぐりこみ、耳をふさぐ。
   布団はしかたなく、受け入れる。
   おかあさんがやってくる。
   パジャマ姿。



おかあさん「イツコちゃん、あの子たち追い返してくれない?おかあさん、うるさくて眠れない」

   イツコ、ますます布団の中で固くなる。
   布団、ぎゅっと抱きしめる。



おかあさん「あ、行っちゃったようね」

   おかあさん、去っていく。
   イツコ、おかあさんがいなくなったのを見計らい、布団から顔を出す。

イツコ「もう、朝だよ。おかあさん」
布団「もう、朝だよ。イツコちゃん」
イツコ「え?」

   イツコ、おどろいて、まわりを見回す。
   カーテン右、左、目覚ましもおどろきを隠せない。
   太陽も思わず顔を出す。

太陽「世界が変わってしまう」
布団「いい加減、起きなさいっ!」

   布団、イツコを突き放すように押す。
   イツコ、布団から飛び出し、尻もち。
   目を丸くして、布団の方を見ている。

目覚まし「あ、俺の仕事、取りやがった。ジリリリリ~ッと」

   目覚ましがイツコの前まで動きだす。
   イツコ、もっと目を丸くして、目覚ましを見ている。



カーテン右、左「起きなよ。ベイビイ」

   カーテンが開き、イツコを手招きしている。
   ことの行く末を心配そうに見ていた太陽。

太陽「もう、いいや」

   太陽、カーテンの間からやってくる。



イツコ「まぶしい」
太陽「おはようございます。イツコちゃん」
イツコ「どなた?」
太陽「太陽です」
イツコ「太陽さん、おはようございます」
カーテン右「窓を開け」
カーテン左「風を入れ」
カーテン右、左「学校へ行きましょう~」



目覚まし「その前にふたりも起こそう」
イツコ「ふたりって」
目覚まし「おとうさんとおかあさんだよ」
イツコ「おとうさんとおかあさん?無理だよ」
目覚まし「どうして?」
イツコ「起きたくないらしいよ」
目覚まし「俺が起こしてみせるさ」
イツコ「あなたが?」
目覚まし「あ、ああ」
イツコ「無理よ」
目覚まし「無理か・・・」
布団「がんばれ。980円」
目覚まし「ク・・・」
イツコ「980円だからじゃないよ」
目覚まし「ク・・・」
イツコ「誰が起こしてもいっしょだと思う」
目覚まし「いや、無理じゃない。俺が起こして見せる」
布団「がんばれ。ほんとは3000円」
目覚まし「(布団にニヤッと笑い)へへ。さ、行ってくるぜ」
カーテン右「いっしょに行こうか?」
カーテン左「ねえ」
目覚まし「いや、ひとりで行くさ。起こすのが、俺の仕事だぜ」

   目覚まし、格好付けて行こうとする。

その3に続きます。
次回が最終回です。



 

朝起きるということ その1

カテゴリー │ブログで演劇

昨年6月2日、新川モールで行われた路上演劇祭JAPAN in 浜松2013で、
グッドモーニング新川というグループ名で、「朝起きるということ」という作品をやりました。
今年のフィールド「85%」のブログで演劇で、調子に乗って、昨年のものを再現してみます。


タイトル「朝起きるということ」

   月がひとりでたたずんでいる。



   あくびをしながら伸びをする。
   眠たそう。
   時間が気になっている様子。
   上手を見ている。

月「おーい」

   返事がない。

月「おーい」

   月、上手の方に行く。
   太陽をひっぱり出してくる。
   太陽眠たそう。



太陽「もう少しだけ」
月「もう、朝だろ?」
太陽「う~ん」

   太陽なかなか起きない。
   月、太陽を無理やりひっぱり出す。
   太陽、必死に抵抗。
   しばし、攻防。
   月、無理やり太陽とバトンタッチ。

月「夜が明けなくなるでしょうが」



   月、太陽を手荒に押し出し、上手にはける。
   太陽、いやいや任務に就く。
   太陽、屈伸運動や首を回したり腕を回したりジャンプしたり。
   最後に両腕を空に向かって突き上げる。

太陽「さあ、行こ~」

   太陽、落ち着く。
   下手を見ている。

太陽「おーい」

   返事がない。
   太陽、下手の方に行く。
   太陽とともに布団にくるまったままのイツコがやってくる。
   といっても、イツコは布団にくるまっているので、顔は見えない。
   布団がイツコをくるんだまま、自らやってくる。



   うしろから、目覚まし時計がやってくる。



目覚まし「こいつ全然起きない。何とかしてくれ」
太陽「あんたの仕事だろ?」
目覚まし「何で俺が・・・」
太陽「この娘を朝、起こすために、ここにいるんだろ?」

   太陽、布団をめくると、イツコの顔。
   すやすやと眠っている。

目覚まし「たった980円だよ」

   目覚ましが背中を見せると、値札。
   3000円の定価に×がつけられ、980円に値引きになった。

目覚まし「値札くらいはがしやがれ。俺はホントは3000円なんだ」

   目覚まし、値札をはがそうとする。

布団「あ、そんなことすると!・・・世界が変わってしまう」
目覚まし「しないよ。俺だってわきまえてる」
イツコ「う~ん」

   イツコ、もぞもぞと動く。
   布団、動きの激しさにもてあます。
   最後に布団を蹴飛ばし、めくられた布団を元に戻し、布団にもぐりこむ。

布団「この~」

   布団、イツコをおさえつけ、しめつける。



イツコ「(苦しそうに)う~ん」
目覚まし「そんなことしたら」
布団「あ、ごめんなさい」

   布団、しめつけをやめる。
   カーテンの右と左がやってくる。





カーテン右「わざわざ彼女のために開けてあげたのに」
目覚まし「勝手に開けて大丈夫か?」
カーテン左「いつものことよ」
太陽「だから僕がいるのさ」
カーテン右「わたしたちが右と」
カーテン左「左に」
カーテン右「開いて」
カーテン左「この部屋の」
カーテン右と左「夜が明ける~♪」
太陽「だから僕がいる~♪でも、起きないんだよな。朝なのに」



   イツコ、布団を蹴飛ばす。

布団「イタッ」

   布団、イツコをしめつけようとするが止める。

太陽「もう一度、起こしたらどうだ」
目覚まし「何度もやってるよ。起きろ~!いいかげん起きやがれ~。ジリジリジリリ~ッてな」
布団「やっぱり、980円だ。起きたくない気持ちもわかる」

   カーテン右と左も強くうなずく。

目覚まし「こら~」
太陽「ここで、おいしい朝食さえあればな」
布団「しーっ。それは言わない約束・・・」
太陽「でも」

   布団からイツコ起き出す。
   イツコ、眠った様子のまま語りだす。



イツコ「わたしは、とてもとてもかわいそうな女の子です。学校の友だちみんなとまったくちがうのです。朝起きても、おいしい朝食が用意されていません。焼きたてのトーストもふわふわのスクランブルエッグも食べたことがありません。たきたての白いご飯もわかめとお豆腐の小ネギがぱらっとかかったお味噌汁も食べたことがありません。だから、わたしは朝起きずに眠っていてもいいのです」

   イツコ、布団にもぐりこむ。

カーテン右「お聞きになりました?かわいそうにイツコちゃん」
カーテン左「聞きましたわよ。奥さん。ちょっとすそがほつれて」
カーテン右「あらやだ、わたくしとしたことが。オホホホ」
カーテン左「オホホホ」



カーテン右「かわいそうなお話。オホホホ」
カーテン左「ほんとうに。オホホホ」



太陽「おかあさんの、おいしい朝食できたからイツコちゃ~ん、おきてらっしゃ~い。ほかの子だったら、当然こういうのあるもんなあ。ククゥ・・・(思いあまり、男泣き)」
カーテン右「太陽さん、涙をおふきになって、ほつれていますが」

   カーテン右、ほつれたすそをさしだす。

太陽「すみません」

   太陽、カーテン右のすそで涙をふく。



布団「かわいそうかなあ」

   布団は首をひねる。

太陽「目覚ましだって、たった980円だもんなあ」
目覚まし「何だよ・・・(くやしまぎれに)ほんとは3000円だよ」
カーテン右「ミッキーがよかったのよね」
カーテン左「キャンディーカラーでかわいかったのよねえ」
布団「定価は同じ3000円だったけど、ミッキーは値引きなしだったそうね」
目覚まし「あんたまで」
太陽「キャンディーカラーのミッキーじゃ、勝ち目ないよ。仕方ないさ」
目覚まし「なぐさめないでくれ」

   イツコ、布団から起き出し、語りだす。



イツコ「キャンディーカラーのミッキーがよかったのに。わたしは目覚まし時計がミッキーだったら、絶対に早起きしたと思います。おとうさんは、わたしがミッキーがほしかったのに、ちがう目覚まし時計を選びました。理由は980円だったからです。980円の目覚まし時計に起こされても、わたしは起きる気持ちになれません」

   イツコ、布団にもぐりこむ。

布団「よしよし。かわいそうなイツコちゃん。どうして3000円が出せないのよ。我が子がかわいくないの?おとうさん」
カーテン右「まったくだ」
カーテン左「鬼ー。人でなしー。よりによって、ど、どうして980円なんかを・・・」
目覚まし「(ぼやくように)980円のどこが悪い」
布団「お父さんに抗議に行こう」
カーテン右「今からでも遅くない~」
カーテン左「キャンディーカラーのミッキーを買ってくれ~」
太陽「俺もいっしょに」
布団「太陽さんが一緒だと心強い」
カーテン右「さあ行こう」
カーテン左「さあ」

   4人盛り上がる。



目覚まし「俺、どうすれば・・・。死ぬか。ダメだ。自ら死んだら世界が変わる。捨ててくれ。イツコちゃん。俺のことがきらいなら、俺を捨ててくれ。水曜日は燃えないゴミの日さ。水曜日にゴミ捨て場に出してくれ。でも、かなうのなら、他のゴミといっしょにしないで、通りがかりの人の目につくようにしてくれ。そうすれば、気に入って拾ってくれる人もいるかもしれないから・・・」

   4人大騒ぎの勢いで、目覚ましを押しのける。

目覚まし「ふん。お気楽なやつらめ。俺はこんなところにいないのさ。もっといい場所へ行くのさ」

   目覚まし、ふてくされて、寝転ぶ。



布団「イツコちゃんにキャンディカラーのミッキーの目覚ましを」
カーテン右、左、太陽「おー」

   4人、行進して上手へ。

おとうさんの声「イツコ~。起きないと学校に遅れるぞ」

   4人、あわてて後戻り。
   布団、カーテン右、左は本来の場所に行く。

太陽「僕はかなた太陽系のど真ん中へ~。光速何キロだろ。超早ッ」

   太陽、カーテンの間から、はるかかなたへ去る。
   カーテンは閉じられる。



その2に続く。
尚、撮影写真は浜松写真連絡協議会のご協力を得て、使用させていただきました。
また、ご参加いただいた静岡文芸大ほかのみなさん、写真を掲載させていただいています。



 

クリエート浜松で「浜松写真連絡協議会 会員写真展」を見た

カテゴリー │いろいろ見た

1日(日)クリエート浜松のギャラリー32・33で開催されていた
浜松写真連絡協議会 会員写真展に行った。

5月26日から行われていて、この日が最終日だった。
写真というのは当然のことだが、
写し出された現場に撮影者はいたはずで、
撮影者が、何にこだわり、どこへ足を運び、何にカメラを向けるか、
がそれぞれ違うのが面白い。

場所にしても家の中から、ご近所、市内、県内、日本各地、海外・・・
対象にしても、人、物、動物、植物、風景・・・
テーマも、日常、祭り、街、舞台、絶景、観光、ポートレート・・・
それらを想像しながら、作品たちと向き合う。

印象に残ったのは、モノクロで子どもの無邪気な様子を撮った写真である。
モノクロ写真というのは、写真技術が誕生した頃に引き戻す力がある.

本来の色を加えないことで、情報量をおさえ、
カラー技術がなかった時代と同じ土壌で勝負できるというか。
だから、何気ない表情であったが、
その子自身が色濃く抽出されていた気がした。

夜は19時から鴨江アートセンターで西部演劇連絡会の例会。
ザザシティのモスバーガーで、時間をつぶしてから、行く。





 

袋井の樂土舎で田中泯ほか参加の「コンポジション―1」を観た

カテゴリー │いろいろ見た

5月31日(土)19時30分~袋井市にある樂土舎で
コンポジション―1
ブレス・パッセージ+樂土の森アートセッション2014が行われた。

出演は
田中泯(ダンス)
姜泰煥(アルト サックス) ※かん・てふぁん
大友良英(ギターほか)
中村達也(ドラムス)
の4名

JR袋井駅や愛野駅からそう遠くはないが、
ナビゲーションで表示されない場所に

一番茶の茶摘みを終えたと思われる茶畑を通って、
(ナビゲーションの目印はJA茶ピアである。
どういった関係か、駐車場はここである。
お葬式の時に、大勢の来客を見越して、
近所の空き地の所有者に駐車場として使わせてもらうような関係か)

やけに声のいいウグイスが「ホ―ホケキョ・ケキョ」を繰り返し、
(さえずるのはオスで、ホ―ホケキョは他の鳥に対する縄張り宣言であり、
ケキョケキョは侵入者や外的絵の威嚇だそうだ)

会場である樂土舎に到着する。

開演前の会場にはすでに多くの人がたむろっている。
整理券を受け取り、
舞台であろう場所と客席があろう場所がある。
舞台であろう場所にはすでに、
ドラムセットやギターがセットされている。
完全な野外である。

まだ開演まで時間があったので、トイレに行くと、
そのあたりで、泯さんがゆらゆらとウォームアップをしていた。
いや、ただ開演までの時間を待っていただけかもしれない。

開演時間近くになると、
整理番号が若い方から呼ばれ、各自好きな場所に座る。
僕は桟敷が一列最前列に用意されていて、そこに座った。
かなり近くに薪を燃やした炎があった。
熱くなるんじゃないかと、しばし心配したが、
始まればこっちのものと、気にしないようにした。
野外の夜だからと、カバンにパーカーを忍ばせていたが、
用はなかった。

19時30分の定刻だったのか、遅れて始まったのか定かではないが、
楽器担当の3名の出演者たちが各々のタイミングで現われ、
最初は後方でうろうろしていたアルトサックスの姜さんが、
一番前のおさまりのいい場所にすぽっとはまると、
楽器担当者たちに準備はOKとばかりに、
姜さんの奇妙な吹き方を合図にセッションが始まる。
後ほどチラシの紹介を見たら、
「東洋の伝統スケールを折り込んだ循環呼吸奏法の先駆的至宝」とある。
それ、よくわからないが、それか?

ドラムの中村さんは、終演後、熱烈ファンからか「たつや~」と何度も掛け声を受けていたが、
こちらもチラシによると、原爆オナニーズ、ザ・スターリンを渡り歩いた後、
ブランキー・ジェット・シティを結成とある。
解散後は個人プロジェクト「LOSALIOS」の活動や映画やドラマに役者としても出ているそうだ。

ギターほかの大友さんは、朝ドラの「あまちゃん」の音楽で有名。
というより僕はそれで初めて知った。
これもチラシを見ると、元々はフリージャズに影響を受け、即興演奏を中心に音楽をやっていたようだ。

そして、音が奏でるセッションの中、
田中泯さんが体ひとつで登場する。

本当に、体ひとつという表現がぴったりなのだ。
憲兵のような、はたまた農作業者のような青い帽子をかぶり、
なじんだコートをはおり、ふらりと登場する。
ぬらりと登場する。
ゆらりと登場する。
どんな感じだっけ?
とにかくいつのまにかいた。
以後、音の中、舞台らしき場所の土や草や石や自然のそこにあるものと
自分の体で戯れた。

セッションは間断なく、形を変えながら続き、
何度か、炎を燃やす薪が足された後、
ドラムの中村さんがドラを4回ならして、終演となる。
その前に、それまで、前を向いて後方のギターやドラムの方を見なかった姜さんが
ギターやドラムの奏者の方を気にしだす。
締めの確認をしていたのかもしれない。
「まだやる~?」の苦笑いにも見えのが面白く、僕も笑った。
終わった時、スマホの時計を見たら、21時だった。

客席らしい場所からの拍手とともに
「たつや~」の野太い声がかかる。
4人はおじぎをして、舞台らしき場所を去る。
なぜか中村さんは燃える炎を手で切るような仕草をして去っていく。
炎にちょっと触りたい気持ち何となくわかった。
片付けをミュージシャンたちが自ら行う様子を見れて得した気持ちになった。
終わった後もだらだらしていたおかげだ。
車を停めたJA茶ピアまではあかりもなく、ほとんど真っ暗だった。

写真はチラシと、終演後の炎に集まる人をステージの裏から撮ったものです。







 

85% その5 (最終回)

カテゴリー │ブログで演劇

5番目は「成功率85%」です。
男性もしくは女性です。
これも「85%病」とともに本番ではやりませんでした。

【成功率85%】

   立っている。

A「病院で検査の結果が出た。
担当の医者から告げられた。
手術の成功率85%。
『大丈夫』
医者は、明日の天気が晴れる確率を言うように告げた。
大丈夫。
85%も成功するのだ。
15%しか失敗しない。
でも・・・。
85%しか成功しない。
15%も失敗する・・・」


6番目(最後)は女性による「砂浜の消失85%」です。




【砂浜の消失85%】 

   女が立っている。

女「高校を卒業後、私が就職したのは土日祝日仕事のサービス業。
生まれた時から、浜松祭りが大好き!
今年の浜松祭りは仕事のため、はじめて参加しなかった。
この仕事を続けている限り、浜松祭りに出る事はない」

   ゆっくりと歩き出す。

女「今世紀末、砂浜の85%が消失する。
中田島砂丘はどうなるの?
浜松祭りはどうなるの?」

   立ち止まる。

女「今世紀末・・・22世紀・・・今は2014年。
2099引く2014・・・85。
今世紀末まで85年。
私、生きているだろうか?
家族は?
友だちは?
浜松祭りは?」

   考える。

女「85年で85%か。
何だ。1年につき1%じゃない。
1年に1%ずつ減らせば、砂浜の消失は防ぐことができる。
私、何やろう。
できるだけ電気消そう。
できるだけ早く寝よう。
できるだけ歩こう。
できるだけスマホやめよう。
できるだけクーラー使わない。
できるだけ、発展・・・
できるだけ・・・
できるだけ・・・
できるだけ・・・」


おわり


女性がセリフを語りだすと音楽が流れます。
ジョン・レノンの「GOD」と言う曲です。
そして、セリフが終わり、幕となります。

紹介する動画の和訳が少し個性的ですが、
セリフを読みながら、じっとバックにかぶさる音を感じると、
より本番の様子が甦るかもしれません。(なんてね)





 

85% その4

カテゴリー │ブログで演劇

2番目は男性による「85%病」です。
(これは本番ではやりませんでした)

【85%病】

   男が立っている。

男「85%病というのがあるそうだ。
とある機種のスマホで100%の充電が突然85%に落ちることがあり、
それを85%病というそうだ。
俺は充電が100%じゃないと気がすまない。
外に出た時は、充電が減っていくのが気になって、用事どころじゃない。
100%に戻すために、わざわざ家に帰るくらいだ。
そんな俺が、いきなり85%だなんて。
15%はどこ行った。
どこへ消えた。
大泥棒め。
15%泥棒。
俺の15%返しやがれ。
100歳生きるはずの人間がだな、生まれていきなり15歳からはじまるようなもんだぞ。
おぎゃーって泣いたら、もう高校生!
もう、ひげが生えている!」


3番目は男性と女性による「85%あなたが好き」です。

【85%あなたが好き】

   男と女が向かい合っている。

男「どうしてダメなんだ」
女「85%はあなたが好きなんだけど、残りの15%はどうも・・・」
男「85%は俺が好きなんだろ?」
女「ええ」
男「85%じゃダメなのか?」
女「85%じゃダメなのよ」
男「15%何が足りないんだ」
女「それがわからないのよ」
男「わからないのか」
女「わからないのよ」
男「そうか」
女「わからないのよ」
男「85%俺が好きか・・・」
女「ええ。85%」
男「85%も好きならいいか」
女「だから、85%じゃダメなのよ」
男「85%なのに」
女「85%なのよ」
男「あと15%か」
女「15%」
男「15%何とかならないか?」
女「15%どうにもならない」
男「まけてくれ」
女「びた一文まけられない」
男「たかが15%・・・」
女「待って。されど15%って続かないよね」
男「続くさ。たかが15%。されど15%」
女「続けないで。たかが野球。されど野球みたいに言わないで」
男「言うさ。俺にとって大事な15%だ」
女「やめて」
男「言うさ。たかが15%。されど15%」
女「やめて」
男「たかが15%。されど15%」
女「やめて」
男「たかが15%。されど15%」
女「いつまで言い続けるの」
男「さあな。今世紀末まで続けるか。
 たかが15%。されど15%。たかが15%。されど15%・・・」
   
   女、男の元を離れていく。


4番目は男性による「人間85%」です。

【人間85%】

   男、立っている。
   服の袖の中にマジックハンドを隠している。

男「僕は改造人間だ。例えるなら、仮面ライダーのように。
ある目的のために、ある組織により、人間から機械の体に作りかえられている。
父さんや、母さんや、学校の友人や、もちろん恋人にだって秘密だ。
ある組織に、きつく言われている。
絶対に言うなと。
人間から機械への作りかえは順番に行われていて、
今のところ、人間率85%だそうだ。
人間85%。
機械15%。
機械の15%はこれだ」

   袖から、マジックハンドを見せる。

男「今世紀末には機械100%の体で地球の平和のために戦っているかもしれない」


ここで、小道具としてこれが使われます。



その5に続きます。
時間が85%の最後です。


 

85% その3

カテゴリー │ブログで演劇

85%にまつわる6つの短い戯曲はこれです。



25日の本番では4つのみ読むまで至りましたが、
先ず、6つの戯曲のセリフを読む人を決めたいです。

女性4名、男性3名
もしくは
女性3名、男性4名
の計7名
を決めたいところです。

読んでくれる7名が決まったところで、
誰がどのセリフを読むか決めます。
それぞれの希望を聞きたいところです。
どれも短いので、一読というより、さらっとながめたところで、決めたいです。
なにせ、あまり観客を待たせるわけにはいかないので。

どのセリフも男女性別の指定がおおよそ決まっていますが、
「成功率85%」は男女どちらでもいいということで、
男女比は違っています。

そして、読む人が決まったところで、順番に読み進めることになります。
誰もがまったくの初見なので、
少しだけ、読む台本に目を通してもらいます。
内容を確認し、少しだけイメージしてくれるだけでいいです。
戯曲の形式を読むのが始めての人もいるでしょうし、
人前で、しかもいきなりなので、
うまくやろうとする必要はありません。
もちろん、うまくやってくれてもいいです。

その間は、時間を有効に使い、
「砂を使って85%消失を体験する実験」を進めることにします。

戯曲にはト書きとセリフが書かれています。
できましたら、ゆっくり、確かめながら
セリフをしゃべってもらえればと思います。
道具は「人間85%」でこれを使うのみです。
セリフを口に出して読むという意識だけでいいですが、
せっかくなので、
「演じる」という言葉を使いたいと思います。



演じる順番は「砂浜の消失85%」が最後にやる以外は特に決まっていません。
ここでは僕なりの順番で、順に紹介していきます。

1番目は「カカオ85%」です。
演じるのは女性です。
ト書きは、“女、立ち上がる”と“食べてみる”の2つです。
台本を見ながら、ト書きに指定された動作を行い、
セリフを口にだしてみましょう。
自分に伝える感じでやるといいかもしれません。


【カカオ85%】

   女、立ち上がる。

女「チョコレートダイエットって知ってる?
 ポリフェノールを多く含むカカオの含有率が高い70%から85%のチョコレートを選ぶのがいいみたい。
 私は85%カカオのチョコレートを毎日食べている。
 でも、やせない。
 85%では足りないのだろうか?
 85%以上のカカオ含有率でダイエット効果は高まるのだろうか?
 試してみた。
 86%・・・
 87、88、89、90、91、92、93、94、
 95、96、97、98、99、100。
 100%カカオのチョコレート。
 食べてみた」

   食べてみる。

女「チョコレートじゃない。
 ただのカカオだ。
 次は、何を食べるダイエットをしようか」





その4に続きます。 


 

85% その2

カテゴリー │ブログで演劇

登場はこんな感じです。



コート脱ぐとこんな感じ。
中に着たTシャツの写真は有楽街にあった果物屋かねなかさんのオーナーです。
有楽街での路上演劇祭に着たものを再登場させました。



遊びでウクレレをあしらってみました。



モデルはこちら。
マークも再現しましたが、フェルトを模様を書きこんだ紙でくるみ、両面テープでとめただけです。



新聞記事を観客に示し、読みます。




砂浜85%消失を体験する実験を行います。

ブリキのバケツに砂が入っています。



観客にスコップで、プラスチックのケースいっぱい砂を入れてもらいます。
この状態を100%とします。



100%から85%分、別の同じ種類の容器に移してもらいます。
85%の砂が消失することを体験してもらいます。
残るのは15%です。




こんな実験もあります。
100%のうち残り15%とは100分の15です。
約分すると20分の3です。
20個の枠にわけられたプラスチックケースを用いて、
20分の3を体験してもらいます。



もう少し、85%について追求してみましょう。
85%について考察した短い戯曲を6本書いてみました。
戯曲のタイトルは
「砂浜の消失85%」
「カカオ85%」
「成功率85%」
「人間85%」
「85%あなたが好き」
「85%病」

戯曲について説明します。

「戯曲はト書きとセリフで構成されています。
ト書きとは、俳優の動きや出入りが書いてあるセリフ以外の文章。
時間や場所の設定、音響や照明などの指示がされている場合もあります」

そして、これらの戯曲のセリフを読んでくれる人を観客から募ります。

その3に続く。