PLATでこどもとおとなのためのお芝居「暗いところからやってくる」を観た その2

カテゴリー │演劇

「暗いところからやってくる」は作が前川知大さん、演出が小川絵梨子さん。
前川さんはイキウメという劇団の主宰者で、普段は作・演出をやっている。
小川さんもアメリカで勉強してきて、今、日本で演出家として活躍している。
ともに、読売新聞社の演劇賞を受賞している。
豊橋にワークショップに何度か通ったが、その過程で、
今回の公演のことを知り、観たいと思って、訪れた。

「こどもとおとなのためのお芝居」と銘打たれているが、
それも興味を持った理由だ。
「こどものためのシェイクスピア」という企画がある。
それはシェイクスピアの戯曲をこどもも含め対象にした内容に書き換えたのであろうが、
普段、大人のためというか、対象をあまり考えないで、作品を作ってきた人が、こどもも含め対象にした場合、
どんな作品を作るのだろうか。

前川さんの作品は観たことがなく、戯曲も読んだことがなかったが、
日常から、少しずれた異界を描くことで知られている。
(知らないから、相当薄っぺらい紹介です)
イキウメという劇団名が面白いと思う。
生きているけど埋まっている
埋まっているけど生きている
なんて中途半端な立場。

暗いところからやってくるのが何なのか興味があったが、
意外とオトナ向けの処理だったように思う。
ちょっと子どもはついてこれなかったんじゃないだろうか。
冒頭から、見せ方はとてもうまくて、
音楽がはいりはじまったところは、
久々にうるうる来た。
理由ははっきりわからない。
何かに訴える巧妙さがあるのだろう。




 

PLATでこどもとおとなのためのお芝居「暗いところからやってくる」を観た その1

カテゴリー │演劇

17日(日)15時~
場所は穂の国とよはし芸術劇場PLATの主ホール舞台上特設舞台。
昼すぎ浜松発の電車で行ったのだが、
頭の中には芝居のことと共にあったのは
「カレーうどん」。

浜松が餃子を推しているように
豊橋ではカレーうどんを推している。
浜松の人で餃子のことを「浜松餃子」と呼ぶ人がどれだけいるか知らないが、
市外の人から、「浜松餃子有名だよね」「浜松餃子おいしい?」とか聞かれると、
とりわけ市外の餃子と浜松の餃子とどこが違うのか実感がない僕は、
「別に変らないよ。ゆでたもやしがついてるのは浜松だけらしいけど」
と、そっけなく答える。
とは言え、町おこしということで、名産を売りだすことに異論はない。

豊橋のカレーうどんの歴史はよく知らないが、
こちらも町おこしの一環のように思われる。
テレビ番組で紹介されていたが、
豊橋のカレーうどんには決まりがあるようだ。
名産のうずらの卵が入っている。
下の方にとろろが入っている。
さらにその下にご飯が入っている。
とろろはご飯とカレーとの間の防波堤だろう。
箸で決壊させれば(混ぜれば)、ご飯とカレーが一体化する。
先ず、うどんを食べて、続いて残ったカレーとご飯を一体化させて食べる。
そんなストーリーを誰かが考えたのだろう。
もしかしたら伝統で、古来からあったのかもしれない。

とにかく豊橋には、その定義に準じたカレーうどんを扱う店がたくさんあるようである。
実際に行って気がついたが、のぼりがある。
そこには「豊橋カレーうどん」とある。
「浜松餃子」
「富士宮焼きそば」
と同様。
「インドカレー」はどうか。
「フランスパン」はどうか。
都市の名前なら
「カリフォルニアロール」
「北京ダック」

芝居を観る前にカレーうどんという考えもあったが、
結果、観劇後にカレーうどん。
お勘定をすると、
「記念に」と全店が紹介されたパンフと4周年スタンプラリーの用紙をもらう。
そうか4周年なのか。

芝居は・・・。
すみません。
次の投稿で。
写真は会場のPLAT。





 

85%

カテゴリー │静岡県西部演劇連絡会会報原稿

■85%                       フィールド  寺田景一

ある日、新聞を読んでいたら、次の記事が目に飛び込んできた。
新聞の見出しは、『日本の砂浜「85%消失」』。
記事を追う。
「地球温暖化が日本の自然や暮らしに与える影響についての予測結果を発表した。
今世紀末には日本の平均気温は最大6.4度上昇。
日本の砂浜は最大85%消失し、洪水や高潮による被害額は年間7000億円以上になると指摘した」

環境省が研究機関に依頼して、調査してまとめた予測結果の記事だった。
路上演劇祭のエントリー締め切りの時期と重なっていた。
新聞のどの記事も、まわりまわれば自分と関係がないことはないのだろうが、自らの興味や、直接的に影響することから、目に留める。瞬間的に、この記事を元に、路上演劇祭にエントリーしようと思いついた。
といっても、日本の、いや世界の将来のことを思えば、深刻ならざる得ない内容と別に、気になったのが、85%という数字と単位だった。「85%消失」って、どういうことだろう?
85%と言えば、多い数字だが、15%は残るということは、どういうことか?

≪彼女≫は浜松まつりが大好きだけど、就職したのが土日祝仕事のサービス業。
この仕事を続ける限りは浜松まつりに参加できそうもない。
そんな≪彼女≫が直面する「今世紀末には砂浜が85%消失」のニュース。
≪彼女≫の頭に浮かんできたのは、「浜松まつりどうなるんだろう?」

凧揚げ合戦は中田島砂丘でやっているのではなく、隣接する遠州海浜公園内の芝生の上。
中田島砂丘の砂浜が85%消失することが、実際、浜松まつりにどう影響するかは、定かではないが、先ずは砂浜消失と≪彼女≫が結びついた。今世紀末に日本の砂浜の85%が消失・・・。

今世紀末まであと何年だろう。
今年が2014年だから22世紀になる手前、2099年まで、2099引く2014は85。
今世紀末まで85年か。
85年で85%の砂浜が消失する。
1年で1%か・・・。
1年に1%ずつ消失を食い止めれば、砂浜は現状を維持できる!
85年後の今世紀末までに一体≪彼女≫は浜松まつりを守ることが出来るのか!!

 というように実際の上演に結びついたかどうかは別にして、「砂浜の消失85%」というごく短い戯曲が出来上がった。
そして、「85%」という数字と単位だけを頼りに、「85%」という作品名を路上演劇祭のエントリーシートに記入し、提出した。
「砂浜の消失85%」のほかにも5編のごく短い85%にまつわる戯曲を書きあげ、5月25日の路上演劇祭当日、観客にいきなり読んでもらうという乱暴な方法で、無事上演した。

(静岡県西部演劇連絡会会報 8月4日号より)