1月19日(日)
10時30分から行われていたが、午後過ぎの入場となり、最後の演目「鬼一法眼三略巻 一条大蔵譚」のみの観劇。
ちょうど幕間で、客席にいると、幕の裏ではトンカンと次の演目を準備する音が聞こえる。
地元の国会議員の挨拶、専門家の大学の先生による演目の紹介が続き、
なかなかたっぷりだったので、早く来なかった自分を少々責めながら待っていると、いよいよ幕が開く。
歌舞伎の幕を定式幕と言い、萌黄、柿、黒の三色の縦縞模様が一般的。
会場備え付けのエンジ色の幕はあるようなので、使用された定式幕は、この定期公演専用なのだろうか?
語る大夫と三味線方はとても本格的で、長く続いてきた歴史を感じさせる。
僕は観ながら、歌舞伎の特徴は「黒衣(くろご)」の存在だなあと思った。
歌舞伎の世界では黒とは見えないものという暗黙の了解があり、
役者の早着替えや、小道具の用意や片付けを“堂々”とする。
日頃やりなれているプロの歌舞伎ならそれほど感じないかもしれないが、
華やかな衣装を着た役名が与えられた人物と同様、黒衣の役割をまっとうする姿を見ながら、これも立派な役だなあと妙に感心した。
役者は自分の役から離れられないが、黒衣は舞台上でひとつの役目を終えたら、次の任務につき、袖で拍子木を鳴らす等、多様に立ち回る。
舞台の上の人だけで芝居が成り立っているのではないというシンプルなことをあらためて認識した。