マリナート 小ホールで「マリナート演劇カタログ」を観た その3
3本目は劇団「Z・A」の「隻眼の紅蓮丸 ご当地番外編 ~清水の章~」。
「隻眼の紅蓮丸」は、
紅蓮丸という、片目を眼帯で隠し、腰に二振りの刀をさした男を主人公とする
シリーズ物ということだ。
劇団新感線のイメージはどこかにあるかもしれない。
大衆演劇のイメージもどこかにあるかもしれない。
作・演出の他、紅蓮丸役で主演も兼ねる木田さんは、
キックオフトークでも登壇していたが、
やろうとしているメッセージは明確に思えた。
チラシのコピーにもあるが、
「笑いあり、涙あり、チャンバラありの、演劇を観たことがない人でも楽しめる極上エンターテイメント」。
まあ、もちろん、極上かどうかは観客が決めることであるが、
このコピーの内容が、作品によく表れていた。
「演劇を観たことがない人でも楽しめる・・・」
先ず、開演5分前には、
主人公の口上に合わせた掛け声の指導がなされる。
僕はちょうどトイレにいたので、
指導の声のみが聞こえたのだが。
幕が開くと、
狂言回しが出てきて、
状況や登場人物の解説、
話の進行の手助けをする。
登場人物の役割はとてもわかりやすい。
主人公に最終的に光が当たるように組み立てられている。
王道のヒーローものである。
問題が起こり、
危機に陥り、
他人に華を持たせるように見せかけながら、
最後はすべてを持っていく。
観客はすっきりカタルシス。
一件落着。
遠山の金さんか水戸黄門か。
そして、紅蓮丸の旅は続く。
シリーズも続く。
漫画が好きだという作家は、
確信犯的に
少年ジャンプ長期連載中の人気海賊漫画の
セリフをもじり、話に取り入れる。
漫画→映画は
今や商業映画の王道だ。
「この世界の片隅に」もそうである。
漫画→演劇も
ざっと思いついただけでも
「PLUTO」「ブラックジャック」「わたしは真吾」「cocoon」「火の鳥」「ブッダ」「ベルサイユの薔薇」「ワンピース」・・・
対して演劇→漫画はほとんど聞かない。
紅蓮丸はどうであろうか。
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