浜松市勤労会館Uホールで「はままつ演劇オムニバス」を観た その2

テトラ

2016年11月23日 19:24

20日(日)はままつ演劇オムニバス。
2本目は、絡繰機械’S「跋扈の暁」。

とある山村に、地からそびえた細く長い謎の物体が現れることから話は始まる。
その物体を見つけた村人たちの描写が冒頭のシーンを彩るが、
これがとても痛快だ。
この痛快さは久しく見ないなと思った。

この勢いで、この村の村長が出てくる。
ただし、格好は、どう見ても映画「トイストーリー」のウッディである。
ウッディとはアンディという少年が持つ保安官の人形のおもちゃ。
そのことの説明はないが、日本の山村が舞台でありながら、
ロッキー山脈の断崖絶壁の山肌を思わせるアメリカンテイストの挿入。
ここで、世界を混濁させる。

あなたの知る特定の場所であることを拒むのだ。
今から始まる芝居はあなたの知らない
この物語のためだけの世界なのだと宣言する。

僕は、話が進むにも関わらず、
村長とウッディとを結びつけることも忘れることができないため、
ウッディのディテールを頭に思い浮かべようとする。
どんな帽子を被っていて、
シャツはズボンはブーツは
首元にはチーフを巻いていて・・・。
そして、この衣装揃えるのに苦労しただろうな。
ありものじゃ間に合わないだろうな。
ネットで探したんだろうか。

その間も眼前の舞台は前に進んでいる。

そうかウッディか木か。
今、これ書いていて気が付いた。
衣装のチョイスも当然のように意味があった。

これは木の物語でもある。

舞台の中心には巨大なモビール細工が天井から吊るされていた。
本来、木は地面から始まり、樹齢により太く、上に長くなっていく。
こちらのモビールは、突如生まれたという通り、
天から降りていて、地を貫いているように見える。
※モビールってこんな感じ↓


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樹木を題材にした物語は劇中でも出てくる「ジャックと豆の木」のほか、
「となりのトトロ」もそうだ。
大きなクスノキに住むトトロというおばけと
さつきとメイの姉妹をはじめとする家族や周辺の人の物語である。

「跋扈の暁」も同様の構造を持つ。
トトロがわけのわからないトトロというおばけと人々の話なら、
跋扈の暁がわけのわからない天から地につながる木と人々との話。
ジャックと豆の木はわけのわからない巨人ややたら伸びる木とジャックとの話。

人間同士の関係に物語の種を見つける話もあるが、
絡繰機械’Sは人間以外のものに題材を求める。
また、日本の寒村を舞台にしているといいながら、
コロラドやウッディやジャックなど、世界を混濁させる仕掛けを施す。
笑いや照明や音楽や舞台装置を重ねるのも
その意思のあらわれだろう。



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