長久手文化の家 森のホールで二兎社「ザ・空気ver.2 誰も書いてはならぬ」を観た

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7月22日(日)14時~
先週末から今週初めにかけて暑さのピークだったように思う。
名古屋市のとなりにある長久手市で行われた公演は
リニモの、はなみずき駅から長久手文化の家まで歩く間に
信じられないくらいの汗をかいた。
会館内のトイレのエアータオルで
シャツを乾かした。
混んでいる女性トイレを横目に
少しやましい気分を持ちながら、
時間をかけて、着られるレベルに戻した。

国会議事堂で国会が開かれている。
周辺には審議内容に反対するデモ隊が取り巻いている。
そんな状況の中、
今回の芝居の舞台は
議事堂のそばにある国会記者会館。

記者会館には、
国会記者会に所属する大手マスコミの記者クラブが入居している。
つまり、国会審議の様子を伝えるための詰め所。

その記者会館の屋上が
今回の芝居の舞台となる。
そこに、入居資格のない
インターネットテレビの記者がカメラを手に
無許可で潜り込む。

その役が安田成美さん。
シャツにジーパン。
ムーミンの曲の着信音が鳴るスマホで対応するのは
育ち盛りの息子で、
これまた生活の状況がわかりやすい。

宣伝チラシを見た時のイメージと異なる。
5名出演する登場人物の内、
安田さん以外は登場する役のイメージにあった衣装であった。
濃い目の色の衣装に身を固め、
クールに正面を見据えている。

安田さん以外の登場人物はみな国会記者会館に入居する
大手マスコミに所属する記者たちだ。
記者たちは、国会審議を伝えるために
記者会館に詰めている。
その合間を縫って、屋上に訪れる。

国会で行われている審議が本来はメインである。
首相や副首相、官房長官、大臣がいて、
各党及び無所属の国会議員たちがいる。
そこでの審議結果が国民の生活に影響を及ぼす。

そのことの重要性を意識することが
この芝居を観るときの大前提だと思う。
その意識が薄い人には
意識付けさせることが、
そのあとの話の進行が受け取れるかどうかに
関わってくる。

国民一人一人に影響を与える“大事な大事な”国会審議に対し
厳しい目を向けるはずのマスコミが懐柔されていく。
その恐ろしさを伝えようとしている。
その体現者となるのが、
安田さん演じるインターネットテレビの記者。

本来は、相当な覚悟で屋上に潜り込んでもいいはずなのだ。
そのような人が、
携帯にかかる息子からのどうでもいい電話に出るだろうか。
あまりに庶民的、普通の人すぎたのではないか。
安田さんのキャラクターに寄せて書いたのかも。

再び宣伝チラシを見てみる。
ああ、この雰囲気の役作りの方がよかったのではないだろうか。
権力を持つ人たちが
権力を不正行使することに対しての抵抗、
そして、あきらめ、挫折、むなしさ・・・。
これがよく伝わったのではないか。

トイレのエアータオルでシャツを乾かすのは実は勇気がいる。
他の人がいるときはさすがにやりにくい。
もちろんシャツを乾かすという本来の目的のためではないので
独占すれば大変な迷惑だ。
人がいないのを見計らい、
シューシューやる。
誰かが入ってきて、
用が済みそうになったら、
速やかにシューシューを止め、
その場を離れる。

そうなのだ。
意外と命がけなのだ。
もちろん所有者である会館側は
トイレのエアータオルでシャツを乾かすのは望んではいない。
あ、そういえば、
エアータオルのエアーとは「空気」だ。

長久手文化の家 森のホールで二兎社「ザ・空気ver.2 誰も書いてはならぬ」を観た



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