人宿町やどりぎ座で、劇団ストレイシープス×劇団渡辺「班女」「アッシャー家の崩壊」を観た

カテゴリー │演劇

2月26日(月)20時~

平日月曜の夜の公演なのだが、
開演前時間があり、劇場あたりを歩いていて、
入りたくなる店構えの店がたくさんあって、目が行って、困った。

これは見慣れない町ゆえかもしれないが、
人宿町というしゃれた名前の場所に劇場はふさわしい気がした。
演劇を鑑賞した後に、カフェに行ったり、バーに行ったりというのも容易に想像できる。
と言うより、帰り道、つい寄ってしまいたくなるのだ。

劇団ストレイシープス×劇団渡辺という二つの劇団のコラボレーション企画。

劇団渡辺演出の「班女」は古今東西の古典作品を自分たち流に作り上げるのが得意な、劇団のレパートリー。
三島由紀夫の近代能楽集は、現在でも、比較的よく上演される戯曲だと思う。
能楽の演目を元に三島文学の文体で書かれた戯曲は、長台詞も多く、決して演じやすくはない。
「班女」が発表されたのは、1956年。
それでも惹かれ、手掛ける人たちが時代を経てもいる。
また、演じやすい時間の長さも大きな理由だと思う。

「アッシャー家の崩壊」はエドガー・アラン・ポーの小説を演劇にした。
劇団ストレイシープスの山田清顕さんの演出。
1839年に発表されたゴシック風の幻想小説で、ポーの、代表的な短編作品。
語りとダンス、抽象的演出(ここでは枠を効果的に使っていた)を特徴とする。
小説を読むときは、読者のペースで読むことが出来るが、
演劇の場合、演者のペースに、観客は合わせて行くしかない。
言葉がわかりにくいな、ペースが速いな、と思っても、
演劇はどんどん前に進んでいく。

今回のコラボレーションの意義は、それぞれの劇団の特徴を組み合わせたことにあると思う。
1作にまとめるのでなく、それぞれの劇団の特徴を活かすように2作にした。

「班女」なら、老嬢 実子を演じる蔭山ひさ枝さんは、この戯曲の文体を言い馴れている。
対して、共演する劇団ストレイシープスのメンバーは、初めて対峙する文体だったかもしれない。
普段使う言葉とも違う。
いつも演じる演劇の言葉とも違う。
でも、新しいことへのチャレンジは、演劇人にとり、挑むべきことでもある。
その表れで、狂女 花子と青年 吉雄の役はダブルキャストになっている。

「アッシャー家の崩壊」なら、抽象性を引き立たせるアンサンブルダンスが活かされている。
これは劇団ストレイシープスの特徴だろう。
物語を伝えるために、演劇的な視覚表現で、観客を楽しませてくれる。
そのアンサンブルに蔭山さんも加わり踊る。
普段踊っているのか僕は知らないが、公演の為、振付を覚え、共に練習を重ねる。
そんな創る過程が、想像できるのも、単独公演と違うコラボレーション企画の楽しみ。

僕が観たのは26日の公演だけなので、
ダブルキャストの出番のなかった方の演技は見ていない。
僕が観た回ではアンサンブルでの出演の方が、どのようなセリフをしゃべったのかは、
やはり気になる。

上演後は、その場にカウンターが現れて、バーに変わるというアナウンスがされた。
週初めの平日の夜で、浜松に戻る必要もあり、僕はバーに変身する前に会場を後にした。

人宿町やどりぎ座で、劇団ストレイシープス×劇団渡辺「班女」「アッシャー家の崩壊」を観た



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この記事へのコメント
バーに寄れず残念でしたー
Posted by ばせり at 2024年03月17日 17:07
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人宿町やどりぎ座で、劇団ストレイシープス×劇団渡辺「班女」「アッシャー家の崩壊」を観た
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