路上演劇祭Japan in 浜松2015のチラシが出来上がった。

カテゴリー │路上演劇祭

28日(土)18時~和地山公会堂にて路上演劇祭の実行委員会。

チラシが出来上がった。
図書館やイベントなど、参加者を含む実行委員が
手分けして、配布する。

見かけたら、手にとって、
ぜひご来場ください。

僕は「はとまとまとつやらまいかのかい」で参加します。

次回の実行委員会は
4月26日(土)17時~19時
浜松市青少年の家にて

※手伝ってくださる方、募集しています!!

5月23日(土)14時~19時
浜松駅北口百貨店前
観覧無料












 

万年橋パークビル8階で、もやしとこけし「モユルヒ」を観た

カテゴリー

21日(土)19時30分~
「もやしとこけし」とは、絡繰機械’sの劇団内ユニット。

伊藤彩希作・演出「もゆる火」
中西祥子作・演出「もゆる日」
の2本を2人芝居で演じる。

中西さんが、「台本書くのは役者の勉強になる」という言葉を端緒に
台本を書き上げ、舞台に乗せたい、という考えに至る自然な流れで、
伊藤さんに「2人芝居やらない?」と声をかけ、実現した。

先に上演された「もゆる火」は「燃ゆる火」だろうか。
後に上演された「もゆる日」は「萌ゆる日」だろうか。

「燃ゆる」と「萌ゆる」。
そんな言葉の違いが、それぞれの芝居にも現われていた。

「もゆる火」は火消し、という特殊能力を持つ父を失ったことから生じる娘の葛藤を描く。
火を消す、とは言え、いわゆる消防士の役割の火事の消化のみならず、
人の心の燃える火も、火の出る恥ずかしさも、消す。
その抽象をどう扱うかが芝居のポイント。
「火を消すこと」それは「概念として・・・」だけど、
その能力は戦火の火も消すのであれば、
それなりの救世主でもある。
救世主を継ぐべく娘の葛藤となれば、話は大きい。

「もゆる日」はタイトルの意味を、こうしてふりかえってから知った。
「萌ゆる」とは若者言葉の「萌え」が変化した言葉で、
「ある物や人に対して持つ一方的で強い愛着心、情熱、欲望などの気持ち」
と、YAHOO知恵袋で2010年にどなたかが答えていた。
芝居を見れば、何に強い愛着を持っていたのかわかるが、
判明するのは終盤である。
散らばる多量の服も足踏みミシンも「りんごのひとりごと」も
その瞬間に回収され、
ひとつの悲しみが明らかになる。
音楽や照明も的確にフォローする。





 

スノドカフェ七間町で「暮らしの中で書くということ。」

カテゴリー │演劇

14日(土)19時~
静岡市の「スノドカフェ七間町」で「暮らしの中から、書くということ。」という
「心がちょっと軽くなるイベント(チラシコピーより)」があった。

第一部は、はままつ演劇・人形劇フェスティバル2013の合同公演として行われた
詩+朗読+写真+音楽のコラボレーションによるパフォーマンス「天使は何を食べている?」
の記録映像上映。

第二部は、「天使は何を食べている?」の詩を執筆した5名の中で、
花巻かおりさん(2008年「赤い傘」で第32回集英社すばる文学賞佳作受賞ほか)
鈴木清美さん(2014年「まつりのあと」で18回伊豆文学賞最優秀賞受賞ほか)
という小説の書き手によるセッショントーク「暮らしの中で書くということ。」
聞き手はこのイベントの企画者の大岡淳さん。
ゲストとして、「天使~」で音楽を担当した作曲家の渡会美帆さん。

浜松からも写真の担当者やら朗読担当者やら書き手担当者やら。
場所は静岡なので、静岡らしい方が多かった。
17時まで磐田市でいわた表現の会からころの定例会があり、
車で拾ってもらった。
出発が遅れたことと、週末夜の混雑もあり、
到着したときは、開演の19時から30分ほど過ぎていた。
第一部が半分ほど過ぎていた。

通常聞く朗読と比べ、
写真、音楽、照明があるというのは、
とても印象が変わる。
詩の聞こえ方が変わる。







 

はままつ演劇・人形劇フェスティバルの全体会議があった

カテゴリー │演劇

13日(土)19時~
浜松市文化振興財団の会議室にて。
仕事帰りで到着したのは、19時を越えていたが、
みなさんも遅めで、実際に始まったのは
19時30分頃だった。
主題は今後についての取り組み。

終わったのが21時30分。
家に帰って
テレビをつけたら
アニメ映画「かぐや姫の物語」をやっていた。
夕飯食べながら、観たが
ほどなく、美しい歌と共にエンディングテロップ。
19時56分から放送は始まっていた。
「結末」だけ観ても話はさっぱりわからない。
久しぶりにDVD借りて観ようか。




 

逃げる女

カテゴリー │ブログで演劇

   『道路工事中』の標識。
   穴を掘っているキリ。




交通安全屋「何、掘ってるんですか」
キリ「わかんない?道路工事中。邪魔しないで」
交通安全屋「そんな恰好で。ここ掘れワンワン。お宝がザックザク」
キリ「うるさい。あっち行ってよ」

   ブレーキ。
   ドアが開く音。
   キリ、掘るスピード速める。
   そして、掘った穴に消える。
   追っ手現れる。



追っ手「女がいなかったか?」
交通安全教室屋「ここに」

   穴を示す。

追っ手「逃げたか」

   追っ手、穴にもぐり、あとを追う。
   『自動車専用』の標識。



   キリ、車に乗り込む。
   『すべりやすい』の標識。



   すべった様子。
   ブレーキ音。
   『落石のおそれあり』の標識。



   落石をよける様子。
   落石の音。
   『10キロ制限』の標識。



キリ「10キロ制限?そんなのんびりしてられない」

   アクセルふかす音。
   交通安全教室屋が吹くホイッスルが鳴り響く。
   『一時停止』の標識。



交通安全教室屋「はい~。速度オーバーですよ~。止まりなさい~」
キリ「冗談じゃない」

   もっとアクセルふかす。

交通安全教室屋「はい~。10代。ティーンエイジ~。あんた10代~」
キリ「ティーンエイジ?10代?私の10代なんてどうだっていいじゃない」

   アクセルふかす。

交通安全教室屋「こら~。あんたの10代~」
キリ「私の10代。まだかわいかったさ。女子高で、下級生から手紙もらったりして。校門出れば、男たちが待ち構えてた。それを私はプイとやりすごしたりして。でも、まいいや。若かったし。その頃、何を考えてたんだろ。夢は?そんなこと考えてる暇なかった。少しは考えとけばよかったかな。わたしは将来こうなりたい!とか。・・・ま、仕方ない。その時はそう思わなかったんだから。まるで毎日が遊園地。今日はどのアトラクション乗ろうか。ジェットコースター。ウォータースライダー。フリーフォール。コーヒーカップも楽しいし、観覧車でまったりもいいか。ソフトクリーム2個買って、彼に向かって走ってきたら、よろけて、クリーム落としちゃったりして。映画で言うとスティーブン・スピルバーグ。宇宙人や恐竜やサメと出会ったり、魔宮に迷い込んで冒険したり」



   『20キロ制限』の標識。



キリ「20キロ制限。そんなのはるかに越えてるよ」

   アクセルふかす。
   『一時停止』の標識。
   ホイッスル鳴り響く。

交通安全教室屋「止まれって言ってんだろうが~。20代~。あんたの20代~」
キリ「20代か。何だろ?OLって。簡単に女の仕事、アルファベット2文字にしないでよ。オフィスレディー。事務所女か。仕事はまあ、そこそこやればいいのよ。でも楽しかった。みんな私にちやほやしてくれた。パーティー、合コン、高価なプレゼント。洋服もバッグも今では残ってないけど。指輪やアクセサリー、どこかにまとめて放り込んであるかな。それ開けると男と男が時代を超えてけんかし合ったりして。そんなもの捨てちゃえ?きれいさっぱり買い取り専門の店に持っていけばいい?プレゼントくれた男それぞれに値段がつくのよ。このネックレス・・・2000円ですね。・・・やっぱり、捨てられないのよねえ。あんまり趣味が合う人いなかったかな。一緒に映画観に行く時も、この人はこの映画ならいいかな、なんて考えて選んだりして。観ている時も、この隣の人は楽しんでいるんだろうか。そんなことばかり考えて、疲れて・・・結局別れてしまう」

   『30キロ制限』の標識。



キリ「30キロ制限。もう止まれないっていうの」

   アクセルふかす。
   『一時停止』の標識。
   ホイッスル鳴り響く。

交通安全教室屋「止まらんか~。交通ルール守らんか~。30代~。あんた30代~」
キリ「30代か」

   電話の呼び出し音が鳴り響く。



キリ「運転中だよ。出れないよ」

   激しく鳴り響く。

キリ「(電話に出る)ダイエット合宿の案内?いいよ。そんな太ってないし。太ってるように見えます?電話じゃわからない?それはそうですね。健康食品もエステもぶら下がり健康器も間に合ってます。結婚紹介所?失礼ですがおひとり?少しも失礼じゃないですよ。独身ですよ。そうです。おひとりです。さみしくはありませんから。休日はスポーツジム行ったり、友達とディナーしたり。男?いえ違います。最近は女同志の方が気楽で。恋人?・・・え?今は。今は、いません。ちょっと前まではいましたよ。いない時期なかったんですけどね。どうしちゃったんだろ?あたしがだめだったって言うか。あ、あたしが!ですよ。他の人は知りません。他の人だったらうまくいくかもしれない。あくまで、あたしが彼のことだめだったんです。同い年の彼。付き合いは長かったんですけど。20代から知り合いで。この人と結婚するんだろうなって思ってた。ま、別れちゃえば一緒ですよね。3日付き合った男と変わんない。その後、スクランブル交差点で、若い女と手つないで歩いてるとこ見たんですけど、なんとも思わなかった。私、ひとりで映画見に行くところだったんですけど。え?何の映画?そうだ。ジュリア・ロバーツの・・・。題名は・・・。恋愛映画?そうですよ。オーシャン11じゃなかったことは確か。ひとりで映画は行きますよ。映画観るのは私の10代のころからの趣味ですから。いつも一人で行くんです。一人で観るのが好きなんです。暗闇の中、シートにうずまって。なに言わせるんですか。あなたどなたですか?テレホンアポインター?ノルマがあるんでしょうけど、私は買いませんから。結婚紹介所にも入会しませんから。お仕事頑張ってください!(電話切る)」



   パーっと激しいクラクション。
   大型トラックが猛スピードで走り去る音。
   キリ、あわてて、ハンドルを切る。
   『追い越し禁止』の標識。



キリ「な、何考えてんのよ。交通標識見なさいよ。追い越し禁止だよ。しかも30キロ制限。よ~し。抜き返してやる」

   キリ、気を入れなおし、アクセルブインと踏む。
   激しいエンジン音。
   ホイッスル鳴り響く。
   『一時停止』の標識。
   交通安全教室屋、必死に止めようとする。

交通安全教室屋「ストップ。ストッ~プ!!」

   キリ、ひたすら前を見て、アクセルを踏みこんでいる。
   急にハンドルを切る。
   『右方屈曲あり』の標識。



キリ「わ。何?今の曲がり角。曲がり角。・・・なんか、今曲がった。肌?体力?誰かを愛する気持ち?」

   キリ、首をふる。

キリ「い~や。そんなことない。絶対ない。無敵の私に限ってそんなことあるわけない!・・・やだ。霧が出てきた。前よく見えない。トラックどこ行ったのよ。走っても走っても、全然追いつかないじゃない。何だよ。このおんぼろ車。今までの人生こんなおんぼろ車乗ったことないよ。もっと高くて、速くて、乗り心地のいい車ばっかりだったよ。捨ててある車なんかこんなもんかよ。戻ろう。来た道を戻ろう」

   ハンドルを切ろうとする。
   『Uターン禁止』の標識。



キリ「Uターン禁止・・・。戻れないの?もう、戻れないのっ!」
上司の声「上野キリ君。この会社、長くいるからよくわかってると思うけど、いつまでも若い時のOL気分じゃ、この会社にいれないよ。時代は変わっているんだ。会社も変わらないと。君もね」
恋人の声「キリ、長くつきあってきたけど、おまえ、俺じゃなくてもいいだろ?・・・俺はキリじゃなきゃダメだったんだけどな」
キリ「そんなこと、そんなこと今言わなくてもいいじゃない。後にしてよ。・・・わっ!」

   激しくぶつかる音。
   キリ、ブレーキかける。



キリ「え!何?今なんかぶつかった?人間?ひいちゃった?」

   『動物が飛び出すおそれあり』の標識。



キリ「鹿?あ、動物が飛び出すおそれあり」

   キリ、車から降りる。
   あたりを探す。



キリ「おかしいな。何かにぶつかったはずだけど」

   あたりを探す。

キリ「気の勢だったのかな。まさか。確かにいやな実感あった」

   車を見ている。

キリ「行こう。ゆっくり行こう」

   エンジンかけるがかからない。

キリ「かからない。どうしちゃったんだろ。なおそうか」

   キリ、車をしきりに見ている。

キリ「私、パンクしたタイヤひとつ換えたこともないんだよね」

   一応粘る。

キリ「全然わかんない。男がいればな・・・」

   その考え気持ちの中で否定する。

キリ「・・・歩こう。車のことは自分じゃできないけど、歩くのは自分の足だ」

   キリ、歩き始める。
   追っ手、やってくる。

追っ手「ようやく見つけたぞ」
キリ「な、何よ」
追っ手「待て!」
キリ「待て?逃げるの?私、逃げるの?」

   キリ、逃げる。

キリ「あんたが追いかけるから逃げるんだよ」

   追っ手、追う。
   出ていく。
   誰もいない。
   しばらくして、キリ、疲れたようすでやってくる。

キリ「ここ、どこだろう。何キロ走ったんだろう。何時間走ったんだろう」




   後ろを振り返る。
   誰もいないのを確認する。
   汽車が走る音。
   『踏み切りあり』の標識。



キリ「踏み切りあり。線路の先を行けば、駅に出る」

   歩き始める。

キリ「その駅があるところはどんな町だろう。水、飲みたいな。おいしいお水・・・どんな水でもおいしいだろうな。井戸かな。水道かな。きりりと冷やしてコップに注がれた一杯の水かな」

   水を飲む。



キリ「あ~(おいしそう)。その町、どんな食べ物あるかな。名物はなんだろう?先ずはご飯だな。白いご飯。漬物と塩コンブ。梅干し。焼きノリ。納豆。焼たらこに塩じゃけ。卵かけご飯。お代わりください!・・・やばい。余計おなかすいた。こんなにおなかすいたの生まれて初めてかも。生まれたての赤ちゃんなら、泣けばお母さんがやってくる。・・・泣こうか。泣いちゃおうか。赤ちゃんじゃないのに。エ~ンエ~ンって」



   汽車が走る音小さくなる。

キリ「え?何で?どこ行っちゃうの?」

   音、消える。

キリ「え?」

   立ち止まる。

キリ「卵かけごはん・・・」

   追っ手があらわれる。

追っ手「見つけたぞ」
キリ「わっ!しつこいなあ。私が何やったって言うのよ」

   追っ手、ピストルを取り出す。

キリ「え?」

   追っ手、構える。

キリ「え?何?どういうこと?本物?」

   追っ手、上に構えて撃つ。
   拳銃音。
   またキリに向ける。



キリ「やだ。死んじゃう。そんなの命中したら私、死んじゃうじゃない」

   キリ、ピストルをけりあげる。
   キリ、逃げる。

追っ手「(ピストル拾い)待て」

   撃つ。
   拳銃音。
   何度か拳銃音。
   汽車が近付いてくる音。
   キリ、耳を澄ませる。

キリ「線路は?線路はどこ?」

   汽車がやってくる。(荷台のようなもの)
   キリ、飛び乗る。



   追っ手、ピストル撃つ。
   キリ、身をよけながら、汽車は移動し、逃げていく。

キリ「何?これ。西部劇?荒野の用心棒?クリント・イーストウッド?」

   追っ手、離されていく。
   そして、去っていく。

キリ「(遠くを見て)どこだろう。(近くを見て)誰だろう。知らない場所。知らない人たち。この汽車、どこへ向かっているのだろう。・・・いいさ。自分で決めるんじゃないもの。行先は・・・任せるさ」

   『40キロ制限』の標識。

キリ「40キロ制限・・・」
交通安全教室屋「40代~。40代~」
キリ「・・・40代か。何があるんだろう・・・。あ、町だ」

   『徐行』の標識。



キリ「徐行。スピードダウンか。それもいい。ゆったりとお風呂につかろうか。懐かしい友達に手紙を書こうか」

   キリ、手を振ったり、誰かに呼びかけたり。
   懐かしい故郷に帰ってきたかのよう。
   汽車、止まる。
   キリ、降りる。
   人々がやってくる。
   そこに走ってやってくる人。
   追っ手が変装している。
   ぶつかりそう。

キリ「ストップ。ストッ~プ!」

   『一時停止』の標識。
   キリ、それを持つ。

キリ「ちょっと止まって。そんな全速力で走ったら、ぶつかってしまうから。気持ちはわかる。気持ちは。でもね。標識を見て。『止まれ』だよ。もしも信号機が赤だったら、止まろう。青になるまで待とう。なかなか青にならないかもしれない。でも、そこであせらないで。ちょっと考えてみよう。自分の道を。来た道。行く道。いろんな標識があったし、守ったり、守らなかったり。守れなかったり。交通標識、交通ルールは守らなくちゃいけないけど、自分の標識、自分のルールはいろいろだ。自分で決めればいい。もちろんうまくいかないこともある。でも大丈夫。そんな時は自分のルール、変えちゃえばいい。こう生きなきゃいけないなんてないんだから。こう生きたい。それだけでいいじゃない。今まで、何本の映画を見てきたかな。映画を見ながら、いつも思ってたこと。ああ。いろんな生き方あるんだな。自分の生き方はどんな映画に見えるんだろう。みなさん。横断歩道は手をあげて、左右を見て、安全をしっかりと確認して、それから、自分の歩き方で進みましょう。さあ、青ですよ。どうぞどうぞ。」



  『通行止め』の標識。
   追っ手、それを持ち、変装を解く。



追っ手「通行止め。これ以上は進めないんだよ。つかまえろ」

   ほかの人々も、キリをつかまえにかかる。

キリ「え?」

   キリ、気を取り直し、ボディアクションで戦う。
   しかし、つかまる。

追っ手「いい加減、観念しろ」

   キリ、観念した様子。
   交通安全教室屋、『非常口』のマークを持ってくる。



キリ「ねえ、私、あきらめるよ」
追っ手「そうか。ようやくあきらめたか」
キリ「頑張っても無理なことあるって、よくわかった」
追っ手「わかればいいんだ」
キリ「ね。教えてよ。どうして、私を追いかけたの?」
追っ手「・・・ん?何だろ?そうだな。あんたが逃げてたからだ」

   キリ、追っ手たちが気がゆるんだすきに、すりぬける。



   『非常口』に飛び込む。
   交通安全教室屋とともに去っていく。
   追っ手たち、取り残される。

追っ手「何ぼやぼやしてるんだ。追え。地獄の果てまで追いかけるんだ!」

   男たち、追いかける。
   追っ手も追いかける。




                                   おわり


「逃げる女」は2009年に、はままつ演劇・人形劇フェスティバルで上演した
劇団フィールド「STOP!」の何本かのオムニバス作品の内のひとつです。
写真は劇団からっかぜの布施さんが撮影してくださいました。
ひとりの女の10代~40代の人生を交通標識に載せて、表現しました。
出演者のみなさま、写真掲載させていただきました。     寺田



 

鴨江アートセンターで「ワークショップ部会」があった

カテゴリー │演劇

10日(火)19時~
仕事終わりで、遅れて行った。
はままつ演劇・人形劇フェスティバル2015の
ワークショップについて話し合う。
静岡県西部演劇連絡会のメンバーが
各部会を担当し、
それぞれが話し合いの機会を持ったりして進める。
そういう形にずっとなっている。
ワークショップ部会はといわけ動きが早い。
日程のみでなく講師の選定もあるからだ。

例年通りなら、

・劇作ワークショップ
・劇評ワークショップ
・演技ワークショップ

が行われる。

発達した低気圧のおかげで、
昼間は雪がちらついた。
「なごり雪」という誰もが知る曲を思いついたが、
特別歌わなかった。

夜も寒かった。
静岡へ車で帰るメンバーが、
帰り際にラーメンを食べる、という話が妙に頭に残った。
僕が家に戻り食ったのはカップラーメンだったけども。



 

8日(日)舞台芸術公園「BOXシアター」で劇団MUSES「Right Eye」を観た

カテゴリー │演劇

3月8日(日)17時~
舞台芸術公園は静岡市の有度山の中腹、日本平動物園を少し先に行ったところにある。
静岡県西部演劇連絡会の代表でもある近江木の実さんが、演出の芝居、野田秀樹作の「Right Eye」の上演が
舞台芸術公園 稽古場棟 「BOXシアター」と妙に説明が多い会場名の場所で行われた。
7日(土)13時30分開演、19時開演
8日(日)13時30分開演、17時開演
の4回公演である。
演出家当人より、「昼間の回を中心に売れているので、お勧めは夜の回」
と伝えられれば、
夜の回に行くことになる。
浜松市から静岡市まで出向くので、
声がかからねば、文句なく、13時30分開演を選ぶ。
特に日曜となれば尚更だ。
1日2回公演の場合、とりわけ自由席の際、チケット販売は
ある種調整が必要になる。
お客さんの自由意思にまかせると、
特に日曜の場合、夜より昼が早く埋まる。
日曜夜は帰宅意識が高まる。
週末に比較しての日曜の夜の盛り場しかり。
日曜の夜は閑散としている。

自分たちは夜公演に行くことにそうデメリットもなかったので、
8日(日)17時~の公演チケットを購入した。
4名で誘い合い、自動車で、有度山の中腹、日本平動物園の少し先の公演場所へ向かった。

日本平のドライブ帰りか、動物園帰りか、山を降りてくる反対車線は
ずいぶんと混んでいた。
演劇の見物に向かう山を登る車は自分たちの乗る車以外はない。
開場時間より前と言うこともあるだろう。
閉園間際まで遊んだ動物園帰りの車の数と比較しても仕方がない。
自分たちのことを風変りでもの好きな人たちとも思わず、
時間と共に暗さを帯びてくるであろう山の中腹の劇場に車を走らせる。

劇団MUSESの観劇は昨年の「赤鬼」に続く。
共に野田秀樹さんの戯曲を近江木の実さんが演出している。
「Right Eye」は「右目」と「正しい目」の2つの意味を持つ。
野田さんは、自身の失明の体験を元に戯曲を書いた。
作家は作りごとを書く。
しかしどんな夢物語で、空想的でも
実際のことと、どこかで重なりあうことを願う。
だから、リアリティがあるのだ。
本当のことであるかのように思う。

野田さんにとって先ずは自らの右目が失明したことが
何より本当のことであった。
それを避けて通ることは出来なかった。
そして、すぐさま演劇作品の題材にした。
「Right Eye」執筆を劇中劇のように扱い、
右目を失う、つまり片目の状態を一眼であるカメラのレンズとダブらせる。

カンボジアの戦場で兵士が向ける銃口の先の少年の姿を撮るために
少年の命よりカメラマンとしての成果を得ることを選ぶ戦場カメラマン。
真実を追求する意義だけでなく、金と栄光への欲もちらついている。

そして、入院する野田を狙ってというより、同じ病院にいる有名女優の姿を追う
芸能カメラマン。
パパラッチと揶揄されるが、本人たちは仕事に対し命がけである。

それらを野田さんは劇作家としての自分をダブらせる。
あたかも決意表明のように。
これからも作り話を書き続けていこうという。
それが「正しい目」であるかどうかは・・・なのだ。

帰りは、すっかり暗くなった有度山の中腹から降り、
近くのカレー屋でカレーを食べて、浜松へ向かった。





 

穂の国とよはし芸術劇場で「狂人なおもて往生をとぐ」を観た

カテゴリー │演劇

3月1日(日)14時~
穂の国とよはし芸術劇場PLAT 主ホール

一日雨だった。
自宅から自転車で浜松駅まで行き、
電車で豊橋駅まで行こうと当初は考えていた。
会場はJR豊橋駅から連絡通路でつながっている。
でも、一日雨の様子だったので、
この行程が面倒な気がして、
結局は車で行った。

開場が駅付近にあることもあり、
専用の無料駐車場はない。
有料駐車場に停めることになる。
会場近くの駐車場は当然のように満車である。
結果、探した末、少し離れた駐車場に停める。
雨の中、傘をさして、会場に向かう。
席が確保されていることもあり、
開演に間に合えばいいのだが、
急ぎ気味になる。

戯曲の作者は清水邦夫さん。
初演は1969年3月に俳優座により上演された。
2か月前には東大安田講堂籠城事件があった。
そんな時代背景の中、書かれた作品。
福士誠治さん演じる男、出(いずる)の父、母、姉、弟が構成する
ひとつの家族の劇である。

出は、精神を病んでいる。
劇は出の病んだ精神故の妄想世界が繰り広げられている。
場所は娼婦の館であり、
家族は互いに娼婦だったリ客だったりする。
つまり近親相姦の関係である。

舞台の上はとてもシンプルである。
真上からぶらさがった大きな白熱電球は、
いかにも昭和の時代の家庭の象徴である。
登場人物が、そばで手をはたくと、
色合いが変わる設定になっている。
もちろんスイッチングは照明担当がやっているのあろうが。

白だったり、ピンクだったリ、
青みがかっていたり。
しかし、決して光の量は多くはない。
ぼんやりした明りの元、
名の知れた俳優である登場人物たちは演じる。

精神を病んだ出の妄想に付き合っている。
近親相姦ごっこに付き合っている。
それ自体、病んでないはずの者たちにも、
問題はあるのだ。
それらがあぶりだされるのが、この劇の展開である。

登場人物がひとり増える。
家族とは血縁関係のない者だ。
門脇麦演じる、めぐみである。
出の弟、葉山奨之演じる敬二の恋人である。
結婚を約束している。

関係のない者から見れば、
演じている家族たちは狂気の沙汰。
理解不能な世界。

彼女の登場は、狂気の沙汰を演じていた家族のほころびを生む。
そして、破れたほころびから、崩壊の一途をたどる。
家族は、崩壊していながらも、無理やり均衡を保っていたのだ。







 

路上実行委員会のあとは「僕は嘘から始まった」を観た

カテゴリー │演劇

2月28日(土)15時から住吉の青少年の家で路上演劇祭JAPAN in 浜松の実行委員会。
17時に終わり、浜松街中の会場で行われる
Fox Works Presents 「僕は嘘から始まった」を観に行った。

場所は中区旭町710 web-ccビル地下1Fとある。
タブレットのマップ検索で行こうとしたら、
大通り1本越えて、バスターミナル方面へ。
どうやら違うようなので、
手元のチラシの裏を見たら、詳細の地図が載っていた。
浜松郵便局の近くだった。
やってきたら、車を停めて、先ほど通りかかった場所だった。
通りかかった時にもいた案内役の男性がいた。

2008年に発表した詩集「僕は嘘から始まった」を元に、
作者である、絡繰機会’Sの役者たばるともさんと
演劇ユニット FOX WORKS主宰の狐野トシノリさんが組んだ公演。

はじめて行く場所だったが、
建物の1FはSTUDIO PETAと言う看板があり、
歌、ダンス、演劇、コントなど、出演者募集中、
あなたも自分の番組を持とう、とある。
ネットで調べたら、オープンスタジオのようだ。
ニコニコ動画への番組配信もやっている。

会場はそのビルの地下にある。
舞台と思われるスペースには
白熱電球が何個か、それぞれ長さの違う赤い紐で吊るされていた。
それが照明でもあった。
おさえた照明であった。

そして、男が語り、
次いて女が語った。

おさえた照明は、翌日豊橋に観に行った芝居でも
踏襲されていた。
言葉を大事にしたい時、
それは都合がいいようだ。