舞台芸術公園 野外劇場「有度」で「MOON」を観た

カテゴリー │演劇

29日(土)19時~
作・演出は庭劇団ぺニノのタニノクロウさん。
プロダクションデザインはカスパー・ピヒナーというドイツ人。
この日は偶然ではあろうが、
観た3本ともドイツ人絡みだった。

プロダクションデザインとは
舞台美術だろうか。
タニノさんと共に
会場である「有度」に入り、
滞在して制作したということだ。

舞台芸術公園には制作棟があり、
寝起きしながら、制作に従事することができる。
そうして生み出されたのが今回の作品「MOON」である。

参加型の作品であるということと
ヘルメットを着用するらしいということは
事前に聞いた。

これも他人から聞いたことで、
事前の予備知識はないに等しかった。
だから、かつてのテレビ番組「川口浩探検隊」をイメージして
何となく面倒な気もしていた。

我々は観客なので、
やりたいのではなく、観たいのだ、などと、少し突っ張ってもみた。

すでに、観劇(参加)した後に、書くのだが、
タニノさんたちが僕たちに見せたかったものは何だったのだろうか。

僕が観劇直後似ていると思ったのは
東北大震災の際、粛々と助け合いながら行動する被災者の方々。
また、生まれた国を捨て、国境を越えていく難民たち。

いや、何かしら楽しいことはないかと、
ゴールデンウイークにやみくもに外に飛び出していく人たち。
僕なんかもそうだ。

委ねた環境の中で、
何かに突き動かされ、
行動せざるを得ない状況になっていく。

観客は、開演を知らされない。
地面に整然と並べられたおよそ300個のヘルメットを被ってくれというアナウンスはある。
シールドを下すと、スモークがかかっている。
両耳もおおわれているため、その後の数度のアナウンスも聞こえない。

最低の段取りを済ませると、
その後は言葉での案内はなくなる。
誘導するのは、小さなものたち。
様相は宇宙飛行士であるが、
ストレートにイメージすると、
妖精である。

観客はあらかじめ用意されている状況なのに
自らの意思で、
また、同行者たちと同意し合って、
演劇の最中に突入していく。
先のまったく見えない、
心地悪さを感じながら。

でも、やはりこの集団行動は
決して特別なことではない。
すいぶん思い当たる。

普段の生活でも、
互いはまったく関係ないのに
共に生きているという感覚。

ミサイルが飛んでくるかもと言えば、
同じように不安に思う感覚。

天気がよくなるとなれば、
なんとなくうれしい感覚。

一度なくなった声の案内は
演劇の閉演も伝えられず、
誰に促されるわけでもなく、
観客たちは、野外劇場を後にする。

使用したヘルメットは元あった場所に
自主的に返還される。
たぶん1個の欠けもなく、
再び整然と並べられる。

このまま何もないまま帰るのかと思っていたら
舞台芸術公園を出る直前、
スタッフにより、パンフ(や他公演のチラシ)を渡される。
それまで忘れていた。
通常なら、入場時に配られるパンフをもらっていなかった。
防寒用のカイロはもらい、腰に貼りつけているのに。

舞台芸術公園 野外劇場「有度」で「MOON」を観た


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