クリエート浜松2Fホールで浜松放送劇団「死神とその弟子」を観た

カテゴリー │演劇

10月14日(日)14時~

浜松放送劇団の村越一哲さんにお目にかかったのは、
はままつ演劇・人形劇フェスティバル2004に向けての
実行委員会に参加したころである。

それまで各劇団の自主公演のみであった演劇祭が
人形劇と共催し、
また、イベントやワークショップも行うことで
広く多くの市民に演劇や人形劇を伝える、
というようなことが目的で、
関係者が集まり、
実行委員会が組織された。

僕は当時以前やっていた演劇を再開し、
仲間たちと劇団を結成し、
1本だけ短めの作品を上演したのみであった。
声を掛けられ参加したわけだが、
その際、劇団からっかぜや劇団たんぽぽなど老舗劇団から
若い劇団などと知り合った。
その中に長く浜松で活動されている
浜松放送劇団があり、
村越さんが他の一名の方と実行委員会に顔を出されていた。

多くの方が参加されていたし、
村越さんと直接お話しすることはほとんどなかったと思うが、
その縁もあり、
フェスティバルでの
浜松放送劇団の公演を何度か拝見させていただいた。
地元を題材にした村越さんのオリジナル脚本が大きな特徴。

しかしながら、
何年か参加されたのち、
浜松放送劇団はフェスティバルに参加されなくなった。

一人芝居を演出を置かずに行うのなら
たったひとりでも活動できるが、
演劇の特性として、
人員を揃えることが上演のための必須事項になる。

劇団が上演をしなくなるのは
多くが人員の問題だろう。

創立60周年も記念誌の発行作業は行ったが、
演劇の上演はなしであることを聞いた。
そしてしばらく年が経つ。

昨年、村越さんが亡くなられたことを聞いた。
そして、今年、昔の劇団員たちが集まって
追悼公演を行うという話を聞いた。

それが今回上演された「死神とその弟子」である。
他の劇団で現役で活動している役者さんもいるだろうが、
もしかしたら、
多くの方は久しぶりの舞台だったのではないだろうか。
アメリカのサンフランシスコからという方
(この方、ユカリ ブラックさん。自己紹介でアクターとおっしゃっていた。
やたらせりふ回しが流暢だった)もいたが、
他にも各地から来られた方もいらっしゃるかもしれない。

会場には
「村越一哲追悼移動展」と称し、
台本や上演ビデオやチラシなどが展示されていた。
上演後、村越さんを偲んで語り合う時間を設けるということで
お茶やお菓子も用意されていた。

クリエート浜松2Fホールで浜松放送劇団「死神とその弟子」を観た

カーテンコールで
入団して63年(確か?)という演出の山下春子さんから、
本日をもって浜松放送劇団は
幕を閉じるということが伝えられた。

僕の隣に座っていた女性客が
突然「え!」って大きな声を出された。
浜松放送劇団の現況を知っている方は、
寂しいながらも黙って頷くのであろうが、
もしかしたら
この方は初めて浜松放送劇団を観たのかもしれない。
新聞に紹介記事が掲載されたらしいので、
それを見て来られた方もいるかもしれない。

そんな複雑さを伴いながら、
浜松放送劇団の劇団としての64年の歴史は幕を閉じた。
観に来られていた観客席の村越さんの奥様に
舞台から降りてきた劇団員から花束が手渡された。
もちろん大きな拍手が沸き上がった。

当然ながら僕が浜松放送劇団と知り合ってからより
それ以前の方がずっと長い。

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