昭和文化小劇場で劇団あおきりみかん「ルート67」を観た

カテゴリー │演劇

15日(日)15時~

名古屋の昭和区にある
昭和文化小劇場は名前からして、ずいぶん古い劇場かと思ったが、
オープンしたばかりで、13日~15日に5回行われた今公演は
劇場のこけら落としのひとつだったそうである。

名古屋駅から乗り継いで30分以上かかるが、
最寄りの地下鉄の駅から階段を上り外へ出ると、
どちらかというと住宅街で、
大きな公園があり、そのかたわらに真新しいが小ぶりな劇場がある。
公園は、広いが、人はほとんどいない。

広い会場でないので、ロビーは待つのにふさわしいとは言えない。
僕は整理券を受け取ると、公園のトイレに行くのも兼ね、外へ出てしばらく時間をつぶした。

浜松より多く降った雪が残っていた。
公園にはこちこちに固まった雪だるまが
置き去りにされていた。

「ルート67」を観て、この作品は、この劇場に触発されて戯曲を書いたに違いないと思った。
思うに、作・演出の鹿目由紀さんは、いい意味で策略家だ。
「劇王」という20分以内の短編作品のコンテストで四連覇を果たしたことがある。

3本は観劇し、1本はせりふの時代という戯曲雑誌で読んだのだが、
切り口が明快というか、
この芝居はこういう芝居ですというのが、
ストレートにわかる押しの強さがあった。

それはとても力強く、迷いがなく、
誤解を恐れずに言えば、男勝りで、
格好良く、颯爽としていた。

ただしそれは一方、アイディアの強さ故、
それがなかったら、または外してしまったら、
どうなるんだろう、という面も持ち合わせていたと思う。

「ルート67」とは言うまでもなく、アメリカのシカゴとサンタモニカを結ぶアメリカ横断道路で、
アメリカのポップカルチャーでもたびたび登場する「ルート66」から来ている。
かつてアメリカンンドリームの夢を託したルート66。
1985年に、道路事業の再編により廃線となっている。

とあるインタビュー記事で、
「走る」芝居をやりたいと思った、と触れていたが、
まさしく、天井が高く、奥行きもあり、ただし、幅がやたら広いわけでもない
そんな舞台に、300人ほどのキャパシティの会場は、
舞台上から客席への侵入もほどほどたりやすく、
たぶん、新しい施設で照明機材も最新で、音響もほどよく行き渡り、
これはエンターテイメントに徹してみようと思ったはずだ。

そこには僕が連想して思い浮かべたところ
「カーズ」「チキチキマシン大レース」「トランスフォーマー」など
とても少年ぽいラインアップが並ぶ。
レースシーンが多いので、役者は常に走っている。(足踏みしている)
また設定が、「人間と車と融合した時代」だという。
ロボットと車の融合である「トランスフォーマー」を越えている。
「力強い。」

話が進むにつれ、非現実的から現実的に移行する。
どう決着をつけるのか予測がつかなかった
広がった心の風呂敷が、
ある程度の大きさに収縮する。
突飛もない話というより日常の話だったのだ。
それは、作者が高校時代に好きだった並木道の思い出を重ねている。
そして、「力強い。」というより「心やさしい。」

昭和文化小劇場で劇団あおきりみかん「ルート67」を観た


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