クリエート浜松2Fホールで雪解カンガルー「リリカ」を観た

カテゴリー │演劇

14日(土)
この日はこの冬最強の大寒波の影響で、
静岡県西部では珍しく
昼間から雪が降っていた。

今年最初のいわた表現の会からころの毎月第2土曜日の例会は
12時集合で、食料持ち込みによる新年会を兼ねていて、
雪が降りしきる中、浜松から磐田へ車を走らせた。

18時からは雪解カンガルーの演劇公演がある。
寒波の影響は翌日まで続くという予報が出ている。
劇団名と重なるような雪景色となるのだろうか。

中島みゆきの歌に、「この世に二人だけ」という曲がある。
この曲は、妻のいる男と自分と何ならこの世に二人きりになってしまってもいい、と願ってしまう
女の心情を歌っている歌なので、
この日観た「リリカ」とは重なる話ではない。
男の妻が挿絵を描いた本を本屋で見つけたことが歌の導入で、
絵を題材にしているということは共通点か。

「リリカ」は今は自ら絵を描かない姉と絵描きの妹の話である。
もう一人、学芸員として、話のキーを握る役割を果たす登場人物がいる。
ただし、僕には観劇後、まるで「この世に二人だけ」に思えた。

妹が絵を描くアトリエと姉がビスク(スープの種類)を用意する部屋が舞台であるが、
外の世界は劇中も二人の口から語られる。
姉がまわる画廊や、妹が大きなアート展の賞を取った授賞式の様子などが語られる。
そして、実際、妹に個展の開催を勧める学芸員も出入りする。

にも関わらず、まるでここは「この世に一つだけの部屋」で、
「この世に二人だけ」が存在しているかのようである。

これには理由がある。
それは今はいない母の存在である。
母の存在は、「絵を描く」という行為を通し、
姉妹に影響を与える。
今はいないからこそ、残された姉妹は
二人だけで部屋に幽閉されたかのような状態で
二人だけの世界を生きる。

終盤、姉は、妹一人残し、
一人部屋を出る。
その姿は象徴のように
ストップモーションと
効果的な照明で演出される。

ただし、観客の僕たちはわかっている。
「この世に二人だけ」は変わらないことを。
扉を開けた向こう側が、
バラ色の世界なわけでもない
爽快な晴れ間なわけでもない
どこにいても他の誰といても
どこか二人だけでいた部屋と変わらぬ場所。

学芸員の役は、第三者である故、もっと思い切った
演技ができたかもと思った。
持ち込んだ「リリカ」の絵が二人の関係の破たんを明るみにするのだが、
二人の事情は全く知らないのだから、
二人の世界と差異をつくると
より際立ったかもしれない。

昼間、降雪と、晴れ間が繰り返され、
結局雪はさほど積もることはなかった。

クリエート浜松2Fホールで雪解カンガルー「リリカ」を観た


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