福祉交流センターで劇団からっかぜ「ドリームエクスプレスAT」を観た

カテゴリー │演劇

6日(土)18時30分
作:岡安伸治
演出:布施祐一郎

この演劇はパニック映画ならぬパニック演劇だ。
深夜高速バスのアクセル全開のままブレーキが効かなくなり、
乗員、乗客たちはパニックに陥る。

岡安伸治氏率いる世仁下乃一座により上演された初演が1988年。
安保とか自衛隊演習とか労働者とか最新技術とか、社会性や現代批判
という底流は背後に流れているのでしょうが、
この作品はエンターテイメントとして成立しているところに、
再演が多かったり、たくさんの劇団が取り上げたりされる理由だと思う。

深夜高速バスにはわけありの人たちが同乗する。
同乗する前、そして同乗した後、ブレーキの故障(オートマチックで原因がよくわからない、という設定がミソになっている)
が起きるまでが、クライマックスに至る助走であるが、
登場人物の紹介の部分が冗漫な気がした。

バスの待合場所というのは本来静かなもので、
互いに絡むこともないのだが、
この導入場面で、互いの関係性が伝われば、
もっとドラマに熱を与えられたのではないか。

後半部分は圧巻である。
役者の力だけでなく、
装置の力が芝居を増幅する。

運転席と乗客席の2つにわかれている。
共に、自在に移動できるコロがついている。
運転席は運転手の意思により、ハンドル操作による車体の動くを表現できる。
乗客たちが乗る乗客席は、黒子3人が人力で動かすことにより、
運転席と同様の動きを実現させる。

役者、装置、黒子が混然一体となり、
「止まらなくなったバス」の影響を受ける。
当然、登場人物の事情や考え方も影響を受ける。

待合でまったく絡み合わなかった者たちが、
外的要因によるのだが、
一瞬の夢を見る。
ドリームである。
観客たちも油断する。
これはドリームだ。
ラスト、劇団からっかぜには珍しく使用されていたスライドの文字と
ニュース放送のアナウンスが
夢は夢でも、悪夢であったことを告げる。

この時、油断をしていた観客たちは笑った。
僕も、この原作が小劇場演劇のスタンダードでもあるのに
初見だった僕も思わず笑った。
うれしくて笑ったのではない。
油断していたのだ。
そして、告げられた事実に、すぐに哀しい感情が湧く。
ここで幕は閉じる。

ちょっと思ったこと。
「ああ、アメリカンニューシネマ」
(明日に向かって撃てや俺たちに明日はない等)

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