穂の国とよはし芸術劇場で「狂人なおもて往生をとぐ」を観た

カテゴリー │演劇

3月1日(日)14時~
穂の国とよはし芸術劇場PLAT 主ホール

一日雨だった。
自宅から自転車で浜松駅まで行き、
電車で豊橋駅まで行こうと当初は考えていた。
会場はJR豊橋駅から連絡通路でつながっている。
でも、一日雨の様子だったので、
この行程が面倒な気がして、
結局は車で行った。

開場が駅付近にあることもあり、
専用の無料駐車場はない。
有料駐車場に停めることになる。
会場近くの駐車場は当然のように満車である。
結果、探した末、少し離れた駐車場に停める。
雨の中、傘をさして、会場に向かう。
席が確保されていることもあり、
開演に間に合えばいいのだが、
急ぎ気味になる。

戯曲の作者は清水邦夫さん。
初演は1969年3月に俳優座により上演された。
2か月前には東大安田講堂籠城事件があった。
そんな時代背景の中、書かれた作品。
福士誠治さん演じる男、出(いずる)の父、母、姉、弟が構成する
ひとつの家族の劇である。

出は、精神を病んでいる。
劇は出の病んだ精神故の妄想世界が繰り広げられている。
場所は娼婦の館であり、
家族は互いに娼婦だったリ客だったりする。
つまり近親相姦の関係である。

舞台の上はとてもシンプルである。
真上からぶらさがった大きな白熱電球は、
いかにも昭和の時代の家庭の象徴である。
登場人物が、そばで手をはたくと、
色合いが変わる設定になっている。
もちろんスイッチングは照明担当がやっているのあろうが。

白だったり、ピンクだったリ、
青みがかっていたり。
しかし、決して光の量は多くはない。
ぼんやりした明りの元、
名の知れた俳優である登場人物たちは演じる。

精神を病んだ出の妄想に付き合っている。
近親相姦ごっこに付き合っている。
それ自体、病んでないはずの者たちにも、
問題はあるのだ。
それらがあぶりだされるのが、この劇の展開である。

登場人物がひとり増える。
家族とは血縁関係のない者だ。
門脇麦演じる、めぐみである。
出の弟、葉山奨之演じる敬二の恋人である。
結婚を約束している。

関係のない者から見れば、
演じている家族たちは狂気の沙汰。
理解不能な世界。

彼女の登場は、狂気の沙汰を演じていた家族のほころびを生む。
そして、破れたほころびから、崩壊の一途をたどる。
家族は、崩壊していながらも、無理やり均衡を保っていたのだ。

穂の国とよはし芸術劇場で「狂人なおもて往生をとぐ」を観た




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