ハートフルホールで木ノ下歌舞伎「義経千本桜―渡海屋・大物浦―」を観た

カテゴリー │演劇

18日(土)14時~ 愛知県豊川市のハートフルホール。

「義経千本桜」は江戸時代に源平合戦後の時代を描いた人形浄瑠璃や歌舞伎の演目である。
そのような歌舞伎の現代的にアレンジし上演している木ノ下歌舞伎。
今年が結成10年目だそうだ。
終演後、別室でアフタートークが行われたが、
主宰の木ノ下裕一さんは年齢は30歳だそうだ。
20歳でこのような劇団を立ち上げたのに驚いた。
少年時代上方落語に衝撃を受け、
その後、古典芸能にも傾倒し、今に至るようである。

特長は作品ごとに演出家を招聘することである。
今回は東京デスロックの多田淳之介さん。
袋井市の月見の里学遊館で「再/生」という作品を観たことがある。
サザンオールスターズの「TSUNAMI」が冒頭に大音量で流れ、
その後は役者たちが踊ったり、倒れたりがひたすら繰り返される。
これは今生きる私たちを表現しているとしたら相当きつい状況だろう。
でも、これらの行為に共感するとしたら、そんなに状況は違わないのだろう。

今作品の原作は「義経千本桜」である。
戦乱の世である。
アフタートークで木ノ下さんが言っていた印象に残る言葉。
「どちらかが加害者でどちらかが被害者なのではない。どちらも被害者である」
亡霊でありながら別の姿で義経に復讐を企て現れる平知盛も返り討ちに合わせる源義経も。
ここでも「TSUNAMI」が流れる。
近現代の戦争を思わせる爆撃の音が流れる。
そう言えば、「戦場のメリークリスマス」も流れた。
ついでに言えば初音ミクの「千本桜」も流れた。
使用される音楽の数々は説明的ともいえる。
それは、生き死にが繰り返される戦乱の世の歴史絵巻を2時間と言う短時間で表現するために
明快さをもたらす。

原作通りに知盛が海に身を投げ、幕は閉じると思ったところで、
義経の心情を慮った演出が施される。
演者たちがまるで盆踊りの様に踊り、義経の周りを回る。
ともに被害者である自分たちを追悼するかのように。

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