アクトシティ浜松大ホールでミュージカル「ア コモン ビート」を観た

カテゴリー │演劇

3月2日(土)19時30分~

“たったの100日間で大舞台に立つ。”
チラシに書かれたキャッチコピーである。
このコピーは観客と言うより出演者募集のためのものだろう。

全国各地で同じ作品で演じられているそうだ。
日本で15年のロングランミュージカルとある。
このような方法のロングランもあるのか。

ブロードウェイはともかく、
日本ではロングランという言葉が当てはまるのは
劇団四季くらいではないだろうか。
あ、帝国劇場の「レ・ミゼラブル」とか「ミス・サイゴン」とかもあるか。
もっとあるかも。(詳しくなくてすみません)
それにしても、海外発の作品ばかりだ。
たぶんだが
劇団四季の一番の目標は
“日本発で海外のカンパニーが演じるオリジナルミュージカルを誕生させること”ではないだろうか。
実現させようとしているかどうかは別にして。

「ア コモン ビート」の成り立ちは
15年の実績もあり、よく考えられていると思う。
アクトシティ浜松 大ホールという大きなホールで行うに当たって、
スタッフの方々も手慣れた様子だった。

100人の人たちはざっくり4つのグループに分けられる。
4つの大陸の住人たちである。
全体を見通せる3人の案内人がいて、
1人だけ、どの大陸にも属さぬ象徴的な存在がいる。
3人の案内人の方にセリフが集中するので、
スタッフに近い方々かもしれない。

参加者たちは大陸間の生活や交流や争いを
喜怒哀楽の伴った歌や踊りで表現する。

この作業に
100日間の多くを費やしたのではないだろうか。
ダンスレッスン、ボーカルレッスン、振付、チーム練習、全体練習。

時間をやりくりして、練習場に通い顔を合わせる。
おそらく参加前の日常を崩して
このプロジェクトに参加したはずだ。
今までの生活を維持したままでは
おそらく公演に辿り着けない。

その体験がこのミュージカルの最大の成果だと思う。
例外なくみな生き生きした表情をしている。
暗い顔をしていたら踊れない。
役の自分を演じるというより
“自分自身”を演じている。
これは心と体を使う表現のひとつの効能である。

祭りの構造と似ていると思う。
リオのカーニバル、よさこい、浜松まつり・・・。
閉じた日常を開放する。

昨年の紅白歌合戦で
サザンオールスターズの演奏に
飛び入りでコラボしたユーミンが言っていた。
「だって、平成最後のお祭りだから」

僕が10年以上前に磐田市で参加したワークショップは
「自己発見表現講座」という。
演劇の手法を通して、
自分を発見し、表現する道筋を体験する
8か月ほどの講座だった。
最後にホールで発表をした。
講師の方が期間の途中で言っていた。
「ここまでは自己発見。これからが表現」

心の解放の先に表現がある。
自己発見が自分のためのものだとしたら、
表現には他者の存在が顔を出す。
参加者たちはどんな目的で参加されたのだろうか。
僕はそれが一番気にもなり、
今後が楽しみでもある。

アクトシティ浜松大ホールでミュージカル「ア コモン ビート」を観た



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