長久手町文化の家風のホールで劇王ⅠⅩを観た

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5日(日)10時に集合して浜松西インターから名古屋インターへ。
昼飯食い、長久手町文化の家へ。
長久手町は名古屋インターから近い。
名古屋駅付近の方が名古屋インターから遠い。
13時から「読んで楽しい観て楽しい」という小説家諏訪哲史さんと劇作家・演出家のはせひろいちさんの対談。
といってもはせさんが諏訪さんに一方的に聞く。

14時30分から「劇王Ⅸ」
昨年まで4連覇している鹿目由紀さんは劇帝という殿堂入りとなり、今回は不参加。
こんなに連覇するとは予定外だったか。
いい意味で遊び的発想で始まり、でも創作者たちの性(サガ)で真剣になることは避けられない。
故に本公演やその他仕事が忙しい中、20分の短編とはいえ、渾身の作品を書き上げ、仲間を集め、本公演さながらの密度の濃い作品を作る。
だから観る我々は面白い。
5日は決勝。
前日4日、Aプログラム4組(劇作家の戦いなので、正しくは4人)、Bプログラム4組の公演が行われ、A、Bそれぞれ1組が決勝に進む。
採点は観客と審査員の投票により行われる。
そして、いつもなら前年の覇者がシードで参加する決勝には審査員推薦で、もう一人進む。
結果から言うと、審査員推薦で決勝に駒を進めた平塚直隆さんが今年の劇王となった。
作品名は「鹿」。
鹿に食いつくされるホラー演劇。
鹿とはきっと鹿目さんのことだろう。
ここ数年鹿目さんとぎりぎりの勝負を繰り広げ、ことごとく敗退してきた平塚さん。
「鹿め~」のセリフが一番笑ったオレ。
きっとテーマはこれだろう。
果てしなく個人的なこと。
楽屋落ち。
それが最高の不条理だ。
表現は意味あることをしなければならない。
それをあざ笑っているとも言える。
奈良への修学旅行で自由行動にもかかわらずバスから外に出ようとしない男子学生。
バスの中には他には運転手だけ。
他の人たちはみんな外。
担任もクラスメートたちも。
外には実は凶暴な鹿たち。
そして・・・。
オレは他の作品に投票した。
宮谷さんの作品「ハウス」。
音と動きとはじめとおわりの一回りした様子が気持ちいい爽快感があった。
ある種のスポーツを観た気がした。
3作品終え、いざ投票する時にはその爽快感でいいと思った。
しかし、1日たち、こうしてブログを綴っていると、平塚さんの戯曲のしたたかさを感じいる。
ずらして、ずらして、またずらして、どこに行こうとしているのか。
それは敵前逃亡のように劇帝に崇め上げられた鹿目さんへの刃だ。
目の前にいない相手と対決するにはこれしかない。
そんな唯一の方法で、見事、敗者復活で勝ち上がる逆転劇で、初の劇王となった。
そして、来年劇王Ⅹでは全国劇作家協会各支部での予選会を勝ち上がった者たちと歴代劇王5人の計16人で3日間に渡り決戦が行われるそうである。
再び同じ土俵で鹿目さんと平塚さんは相まみえる。
塚田さんの作品「シュガーレス・ガ-ル」もとても雰囲気があった。
洗濯機と洗えぬシャツを持ち立ちすくす女と洗われぬまま放置された汚れた衣料たち。
こうなって欲しいと願う方向に話は進む。
つまり女の気持が回復する方向だ。
汚れものが洗われる方向だ。
日が差し込み、洗い上げられた洗濯ものたちがホリゾント幕いっぱいにかかげられる。
でも意に反しオレの目にはそれらシャツからが首と両手と両足が伸びてくるかのように見える。
それらは言うまでもなく死体である。
それは希望であろうか。
やはり死とは絶望でしかない。
絶望であることをわかり、(というより当事者はそれしかない)、そんな中でも飯を食い、洗濯もし、風呂にも入り、眠り、起き、それを繰り返すことで、ようやく立ち上がる。
気がついたら立ちあがっている。
前日の予選では特に観客投票数が圧倒していた。
劇王となった平塚さんの作品の倍以上の数だった。
それもまたよくわかる。
希望を求めているんは確かなのだから。
予選と決勝の両日観る人も多いのではないか。
審査員はもちろん一般観客も。
実際オレも自宅からすぐ行ける会場だったら確実に両日観に行くだろう。
2回見ると、1回目の印象と2回目の印象はぞれぞれ異なるだろう。
2度ともいいと思う圧倒的な作品もあれば、
1回目はいいと思ったけど、2回目はそうでもなかった。
またその逆。
2度ともいい作品がもちろんいい。
でも2度目の方がいい作品はくせものだ。
1回目に気がつかなかったことが気がつく。
現に今でも糸を引く。
5人で行ったので5人で話しながら帰ってきた。

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