2016年07月16日07:21
静岡文化芸術大学 総合演習室で劇部コーヒーメーカー&劇団TIPS夏季合同公演を観た≫
カテゴリー │演劇
14日(木)18時30分~
1本目は静岡大学浜松キャンパスの大学生による劇団TIPS「Bank Bang(!)Lesson バンク・バン・レッスン」。
バンク・バン・レッスンは、劇団ショーマの高橋いさを氏作の1984年に上演された作品である。
とある銀行で行われる銀行強盗を想定した防犯訓練をひたすらごっこ化することがこの物語の骨子である。
これのみで成立するというシンプルさが、書かれて30年以上たつ今も、
全国のどこかで上演され続けている要因ではないか。
本物の銀行強盗から始まると、強盗した犯人の事情が入り込み、そこから完全に自由にはなれない。
その点、ごっこ遊びであれば展開はどこまでも自由になれる。
だって、何をやっても、何があっても「ごっこ」なのだから。
その自由さを裏付けに、登場人物を演じる役者たちも羽を伸ばして、話の展開に身を任せることができる。
その勢いを借りて、例えば「好き」とか、普段は言えない本音が言えるようになるのも、「ごっこ」の効用である。
拳銃を手にした銀行強盗が現われるという究極な状況が、より活かされる。
ただし、どんな状況に陥っても、「ごっこ」なのだから、本当に危機に陥るわけではない。
私たち観客はそんな安心感の中、「ごっこ」であることを知りながら発展してく展開を楽しむ。
巻き起こった悲劇もすべてが肯定的に転嫁され、ごっこ遊び(つまり防犯訓練)が終わることで、
この芝居は幕を閉じる。
演じた大学生たちの演劇経験は短いように思えた。
ただし、演劇ならではのごっこ心にあふれた演目は、
稽古の過程も含め、とてもふさわしいように思えた。
純粋に演じる様は、観客にも届いたようだ。
2本目は静岡文化芸術大学の大学生による劇部 コーヒーメーカー「イきたがり」。
こちらは、オリジナル作品。
朝、布団から出ようとしないボクの元に
4人の「イきたがり」が現われて、ボクをどうにかしようとする。
物語とは、簡単に言えば、主人公が何かをする話なので、
朝になっても布団から出ようとしないし、何もしたくない、という主人公が設定されると、
これはまわりがどうにかしないと、話は始まらない。
そこに、主人公をどうにか行動させようとするのが、
順番に現れる4人の「イきたがり」。
読み方同じで、字と意味が違う、というのが登場してくる者たちの特徴。
それぞれの意味の違いが、セリフや動きに表れ、主人公に影響をもたらす。
4人の「イきたがり」とは「行きたがり」「逝きたがり」「生きたがり」「息たがり」である。
それぞれの意味はそれぞれ作者のメッセージであろう。
「行く」のか「逝く」のか「生きる」のか「息する」のか。
若く、これからの選択肢が広がっている時期に
このような問いかけをすることは意味のあることだと思う。
その思いは舞台上だけでなく、
観客席にも共有を求める。
演じる役者たちはひんぱんに観客たちに呼び掛ける。
「あなたは何を選びますか?」
1本目は静岡大学浜松キャンパスの大学生による劇団TIPS「Bank Bang(!)Lesson バンク・バン・レッスン」。
バンク・バン・レッスンは、劇団ショーマの高橋いさを氏作の1984年に上演された作品である。
とある銀行で行われる銀行強盗を想定した防犯訓練をひたすらごっこ化することがこの物語の骨子である。
これのみで成立するというシンプルさが、書かれて30年以上たつ今も、
全国のどこかで上演され続けている要因ではないか。
本物の銀行強盗から始まると、強盗した犯人の事情が入り込み、そこから完全に自由にはなれない。
その点、ごっこ遊びであれば展開はどこまでも自由になれる。
だって、何をやっても、何があっても「ごっこ」なのだから。
その自由さを裏付けに、登場人物を演じる役者たちも羽を伸ばして、話の展開に身を任せることができる。
その勢いを借りて、例えば「好き」とか、普段は言えない本音が言えるようになるのも、「ごっこ」の効用である。
拳銃を手にした銀行強盗が現われるという究極な状況が、より活かされる。
ただし、どんな状況に陥っても、「ごっこ」なのだから、本当に危機に陥るわけではない。
私たち観客はそんな安心感の中、「ごっこ」であることを知りながら発展してく展開を楽しむ。
巻き起こった悲劇もすべてが肯定的に転嫁され、ごっこ遊び(つまり防犯訓練)が終わることで、
この芝居は幕を閉じる。
演じた大学生たちの演劇経験は短いように思えた。
ただし、演劇ならではのごっこ心にあふれた演目は、
稽古の過程も含め、とてもふさわしいように思えた。
純粋に演じる様は、観客にも届いたようだ。
2本目は静岡文化芸術大学の大学生による劇部 コーヒーメーカー「イきたがり」。
こちらは、オリジナル作品。
朝、布団から出ようとしないボクの元に
4人の「イきたがり」が現われて、ボクをどうにかしようとする。
物語とは、簡単に言えば、主人公が何かをする話なので、
朝になっても布団から出ようとしないし、何もしたくない、という主人公が設定されると、
これはまわりがどうにかしないと、話は始まらない。
そこに、主人公をどうにか行動させようとするのが、
順番に現れる4人の「イきたがり」。
読み方同じで、字と意味が違う、というのが登場してくる者たちの特徴。
それぞれの意味の違いが、セリフや動きに表れ、主人公に影響をもたらす。
4人の「イきたがり」とは「行きたがり」「逝きたがり」「生きたがり」「息たがり」である。
それぞれの意味はそれぞれ作者のメッセージであろう。
「行く」のか「逝く」のか「生きる」のか「息する」のか。
若く、これからの選択肢が広がっている時期に
このような問いかけをすることは意味のあることだと思う。
その思いは舞台上だけでなく、
観客席にも共有を求める。
演じる役者たちはひんぱんに観客たちに呼び掛ける。
「あなたは何を選びますか?」