シネマe~raで「サマー・オブ・ソウル(あるいは、革命がテレビ放映されなかった時)」を観た

カテゴリー │映画

11月3日(祝)19時5分~

1969年8月15日から17日までの3日間約40万人の観客を集めたウッドストック・フェスティバルと同じ年、
6月29日から8月24日までの日曜午後3時からハーレム・カルチュラル・フェスティバルが開催された。
6回の無料コンサートに30万人近くが参加したようである。
ウッドストックが映画化もされ、違う国で生きる僕も知る(DVDまで持っている)のと比べ、
ハーレム・カルチュラル・フェスティバルの存在は知らなかった。

映画の副題にあるように、撮影された映像が、保管されたまま長く世に出なかったのである。
それが2019年に行われたフェスティバルの50周年記念式典をきっかけに映画化が進められることになる。

映画を見ていて興味深かったのが、
ちょうどフェスの開催日である7月20日にアポロ11号が人類史上はじめて月面着陸に成功のニュースが流れる。
取材記者はフェスの観客に、宇宙飛行で月に到着したことをどう思うか質問する。
素晴らしいことだと答える一方、その金を貧しくて困っている人たちに回してほしい、と答える。
君にとってどっちが大事?と意地悪な質問をする。
流れる音楽に身をかませながら、そりゃあ、こっちだね、想定通りの答えをする。

そして、映画の編集ではライブの演奏に月面着陸の映像が交互に差し込まれる。
音楽と月面着陸はまったく別物だ。
同じ時代にいろいろな別物が共存している。

ウッドストックもこちらのフェスも、音楽が政治と今より結びついていた時代ならではのイベントであるが、
その後は対外的には別の歩みをする。
一方は伝説となり、一方は、所謂無視された。

伝説になったからよかった云々の話ではない。
どちらに出演した者たちも、イベントがあってもなくても
名の知れたミュージシャンたちだ。

ただし、無視された方のイベントは、
参加者も観客も人種的に差別されているマイノリティ側であったからではないかというのが、
映画が伝えるひとつの文脈である。
前年にはアフリカ系アメリカ人の公民権運動の指導者キング牧師が暗殺されている。

ここで僕は人種を表す言葉を出さない。
人間を肌の色で類別すること、
音楽の種類を人種で言い表すこと自体が差別的であるという考え方があるようだ。

僕は詳しいとは言えないが、
ソウルミュージックやリズム&ブルース、ゴスペルなどが好きだ。
ごく単純に音楽として。

しかし、この映画でも紹介されているが、
音楽性は多岐にわたる。

アフリカルーツのアフロ・ビート、ラテン、
JAZZだったり、ロック的だったり、当時現代的だったサイケと融合していたり。
レコードレーベルが流行を意識して作り出したモータウン、
人種・性別を越えた構成のバンドだったり。

象徴的な出演者として、
冒頭と途中、そしてエンドロール後にも
19歳だったスティービー・ワンダーが出てくる。
当時もヒット曲に恵まれていたが、
それを再生することで満足することなく、
新しい地平に果敢にチャレンジしていく姿勢が触れられている。

何十年も(決して多くはないが)洋楽を聴いてきたと思うが、
近頃、音楽映画を映画館で観て、今さら発見したことがある。
歌詞がわかると、音楽もよりいいと実感する。
歌を通して何を伝えたいのか初めてわかったような気さえするのだ。
それは歌詞の意味もわからず聴いていた時と違う。
(日本語訳の歌詞カードと見比べながら聴くときもあるが、
文字で書かれた詩を読むのと音を聴くまったく違う作業を同時進行でやるようで、
いまいち融合しない。
映像に日本語訳が流れるのも似た作業だと思うが、
実際の映像があるためか、別の作業のシナプスがつながりやすい気がする。

あたりまえのことだが、
洋画を観るときは、親切にも日本語字幕が付いている。
音楽に言葉なんて関係ない、と言い張る人もいるかもしれないが、
洋画に字幕がなかったら相当ストレスがたまるだろう。
次第に観なくなるだろう。
積極的だったら、理解したいがために英語を懸命に習得しようとしたかもしれない。
音楽なら言葉の意味がわからなくても聴いてしまう。
もしかしたら生涯。
これはこれで音楽の不思議なところだろう。

シネマe~raで「サマー・オブ・ソウル(あるいは、革命がテレビ放映されなかった時)」を観た

こちらは出演した左上より、スライ&ザ・ファミリーストーン、ニーナ・シモン、マへリア・ジャクソンのCD。
いつまでもにわかの域を出ない聴取者のひとりである。
ちなみにスライ&ザ・ファミリーストーンはウッドストックにも登場した。
人種・性別を超えたメンバー構成と多彩な音楽性が特徴だが、
両者のフェスティバルの違いを象徴していたのかもしれない。



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